電気設備の技術基準の解釈の解説

第205条(直流電車線の施設)

経済産業省の一次資料を確認(新しいタブで開く)該当頁の目安 p.297–298

〔解 説〕 本条では、直流電車線の施設について規定している。
第一号では、電線の太さについて規定している。一般に電線の太さは、許容電流、電圧降下、機械的強度、施工上の利便及び電力経済等の面から定められるが、電車線が他の低高圧架空電線と異なる点として、摩耗による断線及び地絡事故に基づく過電流による断線があるので、これを防止する見地から電車線では、送配電線等より太くする必要がある。
この太さは、この解釈の一つの基本的な考え方となっている5mmの硬銅線の強さと太さを基準にとり、これに集電子とハンガイヤーとの関係、衝撃や火花の影響を加えて、その2倍の断面積程度を必要とするものとし、これに相当した7mmとしている。従来は、摩耗を考えて8mm以上となっていたが、この解釈が維持すべき最低基準という考えから、その最低値を定めている。
本条は、に該当する電車線等及びレールについては、鉄道営業法、軌道法又は鉄道事業法の相当規定に定めるところによることとして適用除外されている。したがって、本条は、鉱山などに施設されるものだけに適用される。なお、従来は高圧直流電車線にあっては断面積85mm2の硬銅線と同等以上のものを使用することが定められていたが、実際には、鉱山等では高圧電車線の施設例もないので、ここには定められていない。
第二号は、架空電車線の高さについて規定している。架空電車線は、道路上に施設されているものでは貨物自動車等の通行に支障を生じないように、専用敷地内に施設されるものでは踏切等で一般交通に障害を及ぼさないように、そのレール面上の高さを定めたものである。
イは、トンネル内や橋の下部等では、その構造上、電車線のレール面上の高さを5m以上に保持することは困難な場合があるので、このような場合には、その場所及びその前後の電車線の勾配緩和区間に限って電車線のレール面上の高さを3.5m以上とすることを認めている。
ロでは、鉱山の坑道内に施設する電車線のレール面上の高さは、坑道が狭く、一般にその構造上3.5m以上に保つことも困難な場合があるので、更に1.8mまで緩和している。
第三号は、電車線の絶縁抵抗に関する規定である。本項においては、架空電車線のうち剛体ちょう架式は除いており、その他の電車線としてサードレール及び剛体複線式電車線と同様の扱いとしている。一般の高圧電線路の絶縁については、絶縁耐力を示しているが(→)、電車線のように多くのがいしで支持された複雑な電路では、絶縁耐力を試験することが困難であるので、絶縁抵抗によりこれを規定することとしている。
架空電車線(剛体ちょう架式を除く。)の絶縁は、その使用電圧を加えたときに、安全に通電できるものとする必要があり、漏れ電流が多い場合は、電車線金具等の電食その他保安の観点から好ましくない影響を生じるので、漏れ電流を1km当り10mA以下に保つ必要がある。サードレールや剛体複線式電車線は、架空電車線に比べ多数のがいしで支持され、その施設位置も運転レールや案内レールに近接しているため、鉄粉その他のじんあいが付着しやすく、湿気も多いので、その絶縁度を電車線と同程度まで要求することは困難であるから、その絶縁抵抗の値を架空電車線の場合の1/10としている(→解説)。
トンネル内においては、電車線をトンネル上部からつる剛体ちょう架式電車線が用いられている。従前、この剛体ちょう架式電車線は架空電車線に含まれ、カテナリ式架線と同様、延長1kmに付き10mAが適用されていた。しかし、剛体ちょう架式電車線の支持点間隔は7m以下とされており、絶縁性能をカテナリ式(支持点間隔約50m)と同一に規制することは合理的でない。そこで実態に合わせるため、H9解釈で剛体ちょう架式を架空直流電車線から除きその他の電車線に移した。
本項で定める絶縁抵抗試験は、一般に、送電を停止し、電車のパンタグラフ等の集電装置を電車線から切り離し、絶縁抵抗計で絶縁抵抗を測定し、漏れ電流を逆算する方法又は直流漏れ電流測定器で測定する方式を用いている。しかし、電車線は、き電線に接続されているので、新設工事の場合は別として、営業線では、き電線を切り離して測定することが困難であるため、き電線を含めて測定を行うこともやむを得ない。なお、低圧き電線路の絶縁抵抗については、一般の電線路としてに規定されている。

公式資料該当頁: p.297–298

令和7年11月20日改正

出典: 「電気設備の技術基準の解釈の解説」(経済産業省)を加工して作成

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