電気設備の技術基準の解釈の解説
第206条(道路等に施設する直流架空電車線等の施設)
経済産業省の一次資料を確認(新しいタブで開く)該当頁の目安 p.298–299
〔解 説〕 本条は、道路等に施設する直流架空電車線等の施設について規定している。
第1項
第1項は、支持物の径間について規定している。架空電車線のちょう架方式としては、電車線を直接スパン線やブラケット等でちょう架する直接ちょう架式と、鋼より線を張り、これを支持がいし又は懸垂がいしを介して、ビーム、ブラケット等で支持し、このちょう架線にハンガ又はドロッパによって電車線をつるしたカテナリちょう架式とトンネル等の天端に取り付けたがいしにより、剛体をつり下げ、この下面トロリ線を取り付けた剛体ちょう架式がある。
架空電車線を道路上に施設する場合は、ちょう架線を用いない直接ちょう架式が採用され、通常はスパン線からちょう架する。この場合、電車線路の支持物にはその構造上、電車線、スパン線等による水平横荷重が加わるので、支持物はこれに対して十分な強度をもつことが必要である。したがって、直接ちょう架式では、径間を大きくすることは保安上不適当であるから、道路上では、径間60m以下とするように規定している。
第2項
第2項は、低圧の架空き電線に係る例外規定である。
第3項、第4項
第3項及び第4項は、ちょう架線とスパン線の工事方法を定めたものであって、路面電車を対象に考えられている規制である。
第3項は、き電線と電車線とを接続する電線(フイーダーブランチ)をちょう架する金属線は、その電車線から絶縁するとともに、安全のため、更にD種接地工事(→第17条)を施すことを定めている。しかし、ちょう架する金属線にがいしを2個以上接近して直列に取り付ける場合は、そのがいし全部が同時に破損することは極めて稀で、この金属線が充電されることがないので、ただし書でD種接地工事をしなくてもよいこととしている。
第4項は、道路上において、電車線のスパン線の充電部分をなるべく小範囲に限定するために、スパン線は原則として電車線間及び電車線から60cm以内の部分を絶縁し、安全のため、更にD種接地工事を施すことを定めている。ただし、電車線から60cmのところに絶縁がいしを設けるとビューゲル又は小型パンタグラフの偏位によりこのがいしが破損するおそれがあるので、これを1mまで増加することができることを定めている。1mと定めた理由は、なるべく充電部分の範囲を狭くするという前提に立って、前述の障害を防止することができる最小限度としたもので、この程度ならば軌道の限界を超えることもないからである。また、架空単線式において、半径が小さい軌道曲線部分でトロリーポールが外れて、トロリーポールが電車線に接触しながら0.6m隔たった先の接地工事を施したスパン線に接触した場合は、電車線が接地状態になる危険があるので(→解説206.1図)、この場合は、0.6mを1.5mまで増加することができることを定めている。
解説206.1図
ただし書は、電車線のスパン線にがいしを2個以上接近して直列に取り付ける場合は、第3項ただし書と同様、D種接地工事をしなくてもよいことを定めている。また、市街地外で電車線路に接近して弱電流電線等が施設されていない場合の電車線のスパン線については、第一号及び第二号に規定した施設を省略してもよいことを定めている。これは、このような所では、他の工作物との関係においても、一般の通行や立入りの問題についても障害を及ぼす危険が極めて少ないためである。
第二号は、解説206.2図に示すとおり曲線部に限らず直線部においても考えられる問題であるが、スパン線(特に振分けスパン線のような場合)が断線して緩み、下部を通過している架空弱電流電線に接触し、先端が電車線に触れるような場合を考えたものであって、この場合は、電車線電圧が直接、架空弱電流電線に印加されて架空ケーブルに孔をあけるなど種々の障害を起こす危険があるので、スパン線の支持点に近い適当な位置にがいしを取り付けることを定めている。支持点の近くとは、支持点付近には弱電流電線があるからである。
なお本条は、第2条に該当する専用敷地内に施設された電気設備については、鉄道営業法、軌道法又は鉄道事業法の相当規定に定めるところによることとして適用除外されている。
解説206.2図