電気設備に関する技術基準を定める省令の解説

第19条(公害等の防止)

経済産業省の一次資料を確認(新しいタブで開く)該当頁の目安 p.6–13

〔解 説〕
第1項 大気汚染防止法施行令の改正(昭和62年10月30日政令第361号)により、ガスタービン、ディーゼル機関(燃料の燃焼能力が重油換算1時間当たり50ℓ以上)がばい煙発生施設に指定(同施行令第2条)され、所要の排出規制が適用されることとなった。
本項は、変電所、開閉所又は電力保安通信設備等に設置するばい煙発生施設から発生するばい煙の防止について規制しており、排出基準及び総量規制基準は発電用火力設備に関する技術基準を定める省令を準用することとしている。
なお、電気工作物であるばい煙発生施設については電気事業の一元的監督と行政上の便宜等から、大気汚染防止法第27条第2項においてばい煙発生施設の設置の届出、計画変更命令他一部の規定が適用除外され、電気事業法の相当規定の定めるところによるとしている。電気事業法及び同法施行規則等にこれらの規定が定められている。
また、非常用予備発電装置は「火力を原動力として電気を発生するために施設する電気設備」に該当することから、「発電用火力設備に関する技術基準」が適用され、本項ではこれを除いた設備(非常用予備動力装置等)に適用される。
第2項 水質汚濁防止法施行令の改正(平成13年政令第201号)により、石炭を燃料とする火力発電施設のうち、廃ガス洗浄施設が同法の特定施設に指定(同施行令第1条)され、所要の排出規制が適用されることとなった。
本項は、水質汚濁防止法の規定による特定施設を設置する発電所等から排出される排出水を規制しており、水質汚濁防止法の規定による規制基準に適合しなければならないと規定している。
なお、電気工作物である特定施設については、電気事業の一元的監督と行政上の便宜等から、水質汚濁防止法第23条第2項で特定施設等の設置届出、計画変更命令等一部の規制を適用除外とし、電気事業法の相当規定の定めるところによるとしており、電気事業法及び同法施行規則等にこれらの規制が定められている。
特定施設を設置する発電所等は、水質汚濁防止法第3条第3項の都道府県が定める上乗せ基準を含む水質に係る基準を全ての規制対象物質について、その発電所等からの排出水において遵守することとなっている。
なお、ここでいう特定施設は、石炭を燃料とする火力設備であり、特に石炭専焼火力設備に限定したものではない。
第3項 水質汚濁防止法施行令の改正(平成13年政令第201号)により、石炭を燃料とする火力発電施設のうち、廃ガス洗浄施設が同法の特定施設に指定(同法施行令第1条)され、同法施行令第4条の4に定める指定地域内にある特定施設を設置する発電所等から排出される排出水の汚濁負荷量について、所要の総量規制が適用されることとなった。
本項は、水質汚濁防止法の規定による指定地域内にある特定施設を設置する発電所等から排出される排出水において同法施行令第4条の2に定める指定項目ごとの汚濁負荷量について規制しており、水質汚濁防止法の規定による総量規制基準に適合しなければならないと規定している。
なお、電気工作物である特定施設については、電気事業の一元的監督と行政上の便宜等から、水質汚濁防止法第23条第2項で特定施設等の設置届出、計画変更命令等一部の規制を適用除外とし、電気事業法の相当規定の定めるところによるとしており、電気事業法及び同法施行規則等にこれらの規制が定められている。
指定地域内にある特定施設を設置する発電所等は、本項において総量規制基準を遵守すると共に前項の規定についても遵守することとなっている。
第4項 水質汚濁防止法施行令の改正(平成13年政令第201号)により、石炭を燃料とする火力発電施設のうち、廃ガス洗浄施設が同法の特定施設に指定(同施行令第1条)され、所要の排出規制が適用されることとなった。
本項は、水質汚濁防止法の規定による特定施設を設置する発電所等から地下に排出される浸透水を規制しており、水質汚濁防止法の規定に定める要件に該当してはならないと規定している。
なお、電気工作物である特定施設については、電気事業の一元的監督と行政上の便宜等から、水質汚濁防止法第23条第2項で特定施設等の設置届出、計画変更命令等一部の規制を適用除外とし、電気事業法の相当規定の定めるところによるとしており、電気事業法及び同法施行規則等にこれらの規制が定められている。
有害物質の使用や処理等をする特定施設を設置する発電所等は地下に浸透する当該特定施設に係る汚水等を含む水について、その汚染状態を検定したときに当該有害物質が検出されないこととなっている。
なお、有害物質とは水質汚濁防止法第2条第2項第一号に規定する物質をいう。
第5項 水質汚濁防止法の一部を改正する法律(平成23年法律第71号)により、水質汚濁防止法第2条第8項に規定する有害物質使用特定施設の設置者に対し、構造等に係る規制が適用されることとなった。これは、使用設備で有害物質が漏えいし、その場で地下に浸透したという事例が確認されたことを勘案し、新たに規制されることになったものである。
本項は、発電所等に施設される有害物質使用特定施設は水質汚濁防止法第12条の4の環境省令で定める構造基準等に適合しなければならないと規定している。ただし、設備の老朽化等で有害物質が地下へ浸透する事故を防止するための構造基準等であり、排水基準等を遵守した特定地下浸透水を浸透させる施設に対しては構造基準等が適用されない。
なお、電気工作物である特定施設については、電気事業の一元的監督と行政上の便宜等から、水質汚濁防止法第23条第2項で特定施設等の設置届出、計画変更命令等一部の規制を適用除外とし、電気事業法の相当規定の定めるところによるとしており、電気事業法及び同法施行規則等にこれらの規制が定められている。
[H24改正点] 新規に追加した。
第6項 水質汚濁防止法の一部を改正する法律(平成23年法律第71号)により、水質汚濁防止法第5条第3項に規定する有害物質貯蔵指定施設の設置者に対し、構造等に係る規制が適用されることとなった。これは、貯蔵設備で有害物質が漏えいし、その場で地下に浸透したという事例が確認されたことを勘案し、新たに規制されることになったものである。
本項は、発電所等に施設される有害物質貯蔵指定施設は水質汚濁防止法第12条の4の環境省令で定める構造基準等に適合しなければならないと規定している。
なお、電気工作物である指定施設については、電気事業の一元的監督と行政上の便宜等から、水質汚濁防止法第23条第2項で指定施設等の設置届出、計画変更命令等一部の規制を適用除外とし、電気事業法の相当規定の定めるところによるとしており、電気事業法及び同法施行規則等にこれらの規制が定められている。
なお、対象となる施設の考え方については、「地下水汚染の未然防止のための構造と点検・管理に関するマニュアル(環境省水・大気環境局土壌環境課地下水・地盤環境室)」を参照されたい。
[H24改正点] 新規に追加した。
第7項 大気汚染防止法及び水質汚濁防止法の一部を改正する法律(平成22年法律第31号)により、有害物質を貯蔵又は使用及び指定物質(公共用水域に多量に排出されることにより人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある物質として政令で定めるもの)を製造、貯蔵、使用又は処理する施設を設置する工場等の設置者に対し、事故によりこれらの物質を含む水が公共用水域に排出された場合等における応急の措置及び事故の状況等に係る都道府県知事への届出義務が新たに課されることになった。
水質汚濁防止法が改正された背景として、有害な物質の漏えいによる地下汚染事例が、毎年継続的に確認されたことが挙げられる。その大半は生産設備・貯蔵設備等の老朽化や、生産設備等の使用の際の作業ミス等による漏えいであったと報告されている。
一方、電気工作物である指定施設については、電気工作物の保安の一元的監督と設置者の利便性の観点から、水質汚濁防止法第23条第2項で事故時の措置の規定が適用除外され、電気事業法の相当規定の定めるところによるとされている。
本項はこれを受け、当該相当規定として事故時の措置に関する技術基準を規定している。したがって、自然災害等が原因で施設の破損等が生じた場合には、直ちに、有害物質又は指定物質を含む水の排出又は浸透の防止のための応急の措置を講じる必要がある。
なお、水質汚濁防止法第2条第4項の政令で定める物質は、ヒドラジン、キシレン、トルエン、ベンゼン等である(水質汚濁防止法施行令第3条の3)。
[H23改正点] 新規に追加した。
第8項 水質汚濁防止法が平成8年6月に改正され油の流出事故による水質汚濁を防止するため、貯油施設等(同法第2条第5項)の事故時の措置(同法第14条の2第3項)規定が追加された。
電気工作物である貯油施設等は同法第23条第2項で事故時の措置の規定が適用除外され、電気事業法の相当規定の定めるところによるとしているため、これを技術基準で規定している。
水質汚濁防止法第2条第5項における貯油施設等の対象となる油は、原油、重油、潤滑油、軽油、灯油、揮発油、動植物油であり(水質汚濁防止法施行令第3条の4)、貯油施設等とは、これらの油を貯蔵する貯油施設及びこれらの油を含む水を処理する油水分離施設が規定されている(水質汚濁防止法施行令第3条の5)。
発電所、蓄電所又は変電所、開閉所若しくはこれらに準ずる場所で潤滑油槽など、油を貯蔵する貯油施設を設置している場合には、例えば油水分離槽、排水ピットの設置などにより、油槽などの破損その他の事故が発生した場合でも油が公共用水域に排出されないようにする措置が考えられる。
なお、ここでいう貯油施設等にはドラム缶等の容器や車両等で移動可能なものは含まれない{水質汚濁防止法の一部を改正する法律の施行について(平成8年10月1日環水管第276号)}。また、油水分離槽は油を事故等により当該設置場所から排出させないための油流出防止設備であり、油を含む水を処理するものでないことから水質汚濁防止法施行令第3条のでいう油水分離施設には該当しない。
第9項 水道水源域の水質の保全をはかるため、特定水道利水障害の防止のための水道水源水域の水質の保全に関する特別措置法が平成6年5月に施行になった。
本項は特定水道利水障害の防止のための水道水源水域の水質の保全に関する特別措置法の規定による特定施設等を設置する発電所等から排出される排出水を規制しており、同特別措置法の規定による規制基準に適合しなければならないと規定している。
なお、電気工作物である特定施設については、電気事業の一元的監督と行政上の便宜等から、同特別措置法第16条第1項で特定施設等設置の届出、計画変更命令等一部の規制を適用除外とし、電気事業法の相当規定の定めるところによるとしており、電気事業法及び同法施行規則等にこれらの規制が定められている。
しかし、現在のところ特定施設には、電気工作物に該当するものが規定されていないため、電気事業法の相当規定に基づき手続を行うものはない。
発電所、蓄電所、変電所等に設置される特定施設としてはし尿処理施設があるが、これは電気工作物に該当しないため、同特別措置法の適用を受けることになる。
特定水道利水障害の防止のための水道水源水域の水質の保全に関する特別措置法では、排出基準を都道府県知事が定めることとなっている。(同法第9条第1項)
第10項 本項では、170kVを超える中性点直接接地式電路に施設するような大型変圧器の絶縁油が万一の内部事故あるいはブッシング事故等により漏油し、構外流出にまで発展した場合の影響は小さくないので、特別高圧の中性点直接接地式電路に接続する変圧器を対象に絶縁油の流出防止設備の施設について定めている。中性点直接接地式電路に接続する変圧器を対象としたのは、その地絡電流が他の非接地式あるいは抵抗(リアクトル)接地式に比較して著しく大きいため、地絡事故等のアークエネルギーによって、タンク破損から大量の漏油事故に発展するケースが考えられるためである。
地下への浸透防止を規定したのは、漏油が地下浸透から構外にまで流出するのを防止しようとするものであり、地下への浸透を防ぐため変圧器周囲のバラス敷きの下をアスファルト、あるいはコンクリート等で遮へいする必要がある。なお、地盤が粘土質であって、万一漏油しても、汚染した層を最悪時で30日以内に搬出処理すれば絶縁油の地下浸透から構外流出(地下水の汚染を含む。)にまで発展するおそれのない場所については、特別に遮へいする必要はない。
油流出防止装置の目的は、変圧器タンクあるいはブッシング等の破損により漏油が構外にまで流出するのを防止することであり、油流出防止設備の収容容量としては、対象変圧器の油量の50%と所要消火放水量(公共消防車が到着するまでの初期消火用の所要水量と公共消防車の放水所要水量40m3の合計)を収容できる容量以上とする。
なお、油流出防止装置の具体的な設計・施工方法については日本電気技術規格委員会規格 JESC E0012(2002)「変電所等における防火対策指針」((社)日本電気協会電気技術規定 JEAG5002-2001)を参照されたい。
第11項 工場及び事業場における事業活動並びに建設工事に伴って発生する相当範囲にわたる騒音について、生活環境の保全の観点から必要な規制を行うために騒音規制法が公害対策基本法の実施法として、昭和43年6月に制定され、同年12月から施行された。
本項は、発電所等に設置する特定施設から発生する騒音を規制しており、騒音規制法の規定による規制基準に適合しなければならないとしている。
なお、電気工作物である特定施設については、電気事業の一元的監督と行政上の便宜等から騒音規制法第21条第1項で特定施設の届出、計画変更勧告等一部の規定を適用除外とし、電気事業法の相当規定の定めるところによるとしており、電気事業法及び同法施行規則にこれらの規定が定められている。
騒音規制の仕組みは、まず、著しい騒音を発生する施設(特定施設という。)を定め、これらを設置する工場(特定工場等という。)すなわちこの省令においては発電所、蓄電所又は変電所、開閉所若しくはこれらに準ずる場所の敷地境界線上の騒音の大きさについて生活環境の保全の観点から都道府県の定める地域ごと(指定地域という。)の規制基準を遵守させる。ここで騒音規制法第2条第1項に基づく特定施設は、騒音規制法施行令(昭和43年政令第324号)第1条で定められ、このうち、発・蓄・変電所等の電気設備に関係するものには、次のものがある。
(1) 空気圧縮機及び送風機であって原動機の定格出力が7.5kW以上のもの
(2) 微粉炭燃焼用機器に係る粉砕機であって原動機の定格出力が7.5kW以上のもの
なお、騒音は、その影響する範囲も騒音の発生源の周辺に限られる。しかも、その場合に特定施設から発生する騒音は、発・蓄・変電所内の特定施設やその他建物などの配置、防音壁などの設置状況、発・蓄・変電所の敷地の広さなどによって異なり、発・蓄・変電所の外へ出るときは必ずしも一律になるとは限らない。
一方、騒音を受ける側にとっても、特定施設そのものから発生する騒音よりも発・蓄・変電所全体としての騒音が生活環境に影響を及ぼすわけであるから、発・蓄・変電所等の騒音の規制は、特定施設そのものに着目するよりも発・蓄・変電所全体の単位でとらえることになるのである。したがって、本項では騒音規制法と対応させて、特定施設を有する発・蓄・変電所等に限定しているが、騒音の生活環境に与える影響を考えるとき、特定施設の有無にかかわらず規制基準値を超えないようにすることが望ましい。都道府県によっては、騒音規制法施行令に定める特定施設の枠を超えて規制する場合もあり、問題が生じた場合は所轄産業保安監督部電力安全課に相談されたい。
指定地域は、特別区及び市の市街地(町村の市街地でこれに隣接する地域を含む。)並びにその周辺の住居が多数集合している地域について定められる(騒音規制法第3条第1項)。これらの地域は広く住民が居住しているので、特定工場等の設置が住民の生活環境を相当範囲にわたり損なうことになるので、それを規制する必要があるわけである。したがって、この趣旨からは、工業専用地区、臨海地区、飛行場その他人の居住に供されない地区はこの地域から除外される。
規制基準は特定工場等が遵守すべき基準である。この基準は解説19.1表の範囲内において、各都道府県知事及び市町村長が地域の住民の生活環境の態様に応じ、一定の値を定めることになっている。{騒音規制法第4条、特定工場等において発生する騒音の規制に関する基準(告示)}。
解説19.1表タップで拡大
なお、同種の区域の規制基準は、同一の都道府県内において同一のものとなる場合が多いが、学校、保育所、病院、入院の施設を有する診療所、図書館及び特別養護老人ホームの周囲おおむね50mの区域については、その区域の規制基準より更に5デシベルを減じた値となる場合もある。
ここで「規制基準」とは、「特定工場等において発生する騒音の特定工場の敷地の境界線における大きさの許容限度をいう」と定められており、特定工場等の敷地境界上において指示騒音計又は精密騒音計により測定し、その最大レベルの騒音がその範囲内におさまっていることが必要である。
騒音規制の基準とは、「音の大きさ」である{計量法(平成4年法律第51号)別表第2に定める音圧レベルの計量単位は
「デシベル」とされている。}が、その他騒音の内容としては、騒音の質(例えば金属音などの不愉快な音)や、デシベルで表すだけでは不十分ないわゆる「騒がしさ」などがある。しかし、これらは測定法や基準の決め方が現在のところ明確ではないので、規制の対象とはしないことになっている。なお、騒音防止対策及び測定法に関しては、電気技術基準調査委員会編電気技術指針 JEAG5001-2005「発変電所等における騒音防止対策指針」があるので参照されたい。騒音測定方法、騒音の大きさの決定、騒音防止方法等の実態に疑義があるときは、所轄産業保安監督部電力安全課に問い合わせられたい。
【関連解釈】 第219条
第12項 工場及び事業場における事業活動並びに建設工事に伴って発生する相当範囲にわたる振動について、生活環境の保全の観点から必要な規制を行うために振動規制法が公害対策基本法の実施法として、昭和51年6月に制定され、同年12月に施行された。
本項は、発電所等に設置する特定施設から発生する振動を規制しており、振動規制法の規定による規制基準に適合しなければならないとしている。
なお、電気工作物である特定施設について、電気事業の一元的監督と行政上の便宜等から、振動規制法第18条第1項で特定施設設置の届出、計画変更勧告等一部の規定を適用除外とし、電気事業法の相当規定の定めるところによるとしており、電気事業法及び同法施行規則にこれらの規定が定められいている。
振動規制の仕組みは、まず、著しい振動を発生する施設すなわち特定施設を定め、これらを設置する工場(特定工場等という。)、すなわちこの省令においては発電所、蓄電所又は変電所、開閉所若しくはこれらに準ずる場所の敷地境界線上の振動の大きさについて生活環境の保全の観点から都道府県の定める地域ごと(指定地域という。)の規制基準を遵守させる。
ここで、振動規制法第2条第1項に基づく特定施設は、振動規制法施行令(昭和51年政令第280号)第1条で定められ、このうち、発・蓄・変電所等の電気工作物に関係するものには、次のものがある。
(1) 圧縮機(原動機の定格出力が7.5kW以上のもの)
(2) 土石用又は鉱物用の破砕機、摩砕機、ふるい及び分級機(原動機の定格出力が7.5kW以上のもの)
指定地域は、特別区及び市の市街地(町村の市街地でこれに隣接する地域を含む。)並びにその周辺の住居が多数集合している地域について定められる(振動規制法第3条第1項)。これらの地域は広く住民が居住しているので、特定工場等の設置が住民の生活環境を相当範囲にわたり損なうことになるので、それを規制する必要があるわけである。したがって、この趣旨からは、工業専用地区、臨海地区、飛行場その他人の居住に供されない地区はこの地域から除外される。
規制基準は特定工場が遵守すべき基準である。この基準は解説19.2表の範囲内において各都道府県知事及び市町村長が地域の住民の生活環境の態様に応じ、一定の値を定めることになっている{振動規制法第4条、特定工場等において発生する振動の規制に関する基準(告示)}。
なお、同種の区域の規制基準は、同一の都道府県内において同一のものとなる場合がい多いが、学校、保育所、病院、入院の施設を有する診療所、図書館及び特別養護老人ホームの周囲おおむね50mの区域については、その区域の規制基準より更に5デシベルを減じた値となる場合もある。
解説19.2表タップで拡大
第13項 急傾斜地の崩壊による災害からの国民の生命、財産を保護するため、急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律(昭和44年法律第57号)が制定された。この法律において、「急傾斜地」とは傾斜度が30度以上ある土地と定義され(同法第2条第1項)、都道府県知事は急傾斜地のうち崩壊するおそれがある地域又は隣接する土地の崩壊を助長し、又は誘発するおそれのある地域を「急傾斜地崩壊危険区域」として指定し(同法第3条第1項)、次のような行為(以下「制限行為」という。)を制限する(同法第7条第1項)こととなった。
(1) 水を放流し又は停滞させる行為、その他水の浸透を助長する行為
(2) ため池、用水路その他の急傾斜地崩壊防止施設以外の施設又は工作物の設置又は改造
(3) のり切、切土、掘さく又は盛土
(4) 立木竹の伐採
(5) 木竹の滑下又は地引による搬出
(6) 土石の採取又は集積
(7) その他政令で定める行為
なお、急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律第7条ただし書において、電気事業法第47条第1項又は第2項の規定を受けた者が当該認可に係る工事を行うとき、急傾斜地崩壊危険区域内における制限行為の都道府県知事の許可を除外していることから、この省令において急傾斜地の崩壊の防止に関する条文が追加されたわけである。
本項は、急傾斜地崩壊危険区域内に電気設備(発電所、蓄電所又は変電所、開閉所若しくはこれらに準ずる場所のものに限る。)、電線路又は電力保安通信設備を設置し又は変更する場合には、その区域内の急傾斜地の崩壊を助長し、又は誘発するおそれがないように施設することを定めたものである。このためには、急傾斜地の崩壊の際、当該設備が他に危険を及ぼすことのないように設備自体を堅ろうに施設するとともに、擁壁や排水施設などの崩壊防止施設を施すことが必要である。崩壊防止施設の設置又は改造その他急傾斜地危険区域内における急傾斜地の崩壊を防止するための工事は次の点を考慮すること。
(1) のり切は、地形、地質等の状況及び急傾斜地崩壊防止施設の設計をすること。
(2) のり面には、土圧、水圧及び自重によって損壊、転倒、滑動又は沈下しない構造の土留施設を設けること。ただし、土質試験等に基づき地盤の安定計算をした結果、急傾斜地の安全が確かめられた部分については、土留施設を設置する必要はない。
(3) のり面は、石張り、芝張り、モルタルの吹付け等によって風化その他の浸食に対して保護すること。
(4) 土留施設には、その裏面の排水をよくするため、水抜穴を設けること。
(5) 水の浸透又は停滞により急傾斜地が崩壊するおそれのある場合には、必要な排水施設を設置すること。
(6) なだれ、落石等により急傾斜地崩壊防止施設が崩壊するおそれがある場合には、なだれ防止工事、落石防止工事により当該施設を保護すること。
第14項 ポリ塩化ビフェニル(以下「PCB」という。)の使用は、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(昭和48年法律第117号。以下「化審法」という。)により鉄道車両の主変圧器又は主整流器の整備に使用する場合を除き使用が禁止されている。しかし化審法で定めている使用とは、PCBを機器その他製品に組み込み又は混入させる行為をいい、PCBが組み込まれ又は混入している製品を使用することは、化審法で言う使用には当たらない。したがって、PCBによる環境汚染防止の観点から、S51基準でPCB使用電気機械器具(電気工作物以外のものを含む。以下同じ。)を新しく電路に施設することを禁止した。しかしながらその後、平成16年2月に、電線であるOFケーブルにおける微量PCBの検出事例が明らかとなった。そこで、規制対象を明確化する観点から、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法(平成13年法律第65号。以下「PCB特措法」という。)の平成28年8月1日の改正施行を機に、H28基準により、PCB使用電線(電気工作物以外のものを含む。以下同じ。)も新しく電路に施設することは引き続き禁止される旨明記した。
なお、S51基準の附則第2項により、昭和51年10月16日の時点で、現に施設し、又は施設に着手した電気工作物である電路については、「なお従前の例による」こととなるので、そのままPCB使用電気機械器具を施設することができる。しかし、
PCB使用電気機械器具を流用・転用して新たに電路に施設する場合は、本項が適用されることとなるので、流用・転用はできない。また、平成9年に、本省令の全部改正が行われたが、このS51基準の附則第2項については、平成9年改正に係る
H9基準の附則第2項により、平成9年6月1日以降も継続して同等の措置がなされている。同様に、平成28年9月24日に施行されたH28基準の改正により、本項に電線が含まれることが明確化されたが、PCB使用電線についても、引き続き、流用・転用はできないこととなっている。
一方、平成28年改正のPCB特措法第18条では、高濃度ポリ塩化ビフェニル使用製品(以下「高濃度PCB使用製品」という。)
について、その所有事業者に対し、高濃度PCB使用製品の種類ごと、場所・区域ごとに、PCB特措法第10条の処分期間内又は特例処分期限日(処分期間の末日から起算して1年を経過した日)までに廃棄することが義務づけられた。また、PCB特措法第20条第1項において、電気工作物である高濃度PCB使用製品ついては、PCB特措法第18条が適用除外となり電気事業法の定めるところによるものとされた。このため、電気事業法においても、改正後のPCB特措法と同等の措置を設けることが必要となった。そこで、H28基準の改正でH9基準の附則第2項にただし書を追加し、高濃度PCB使用製品に該当する可能性がある電気工作物の種類を告示で示すとともに、当該告示で示す期限の翌日又は期限から1年を超えない期間に当該電気工作物を廃止することが明らかな場合は、期限から1年を経過した日以後、そのまま電路に施設することを禁止した。
なお、高濃度PCB使用製品に該当する可能性がある電気工作物の種類は、絶縁油を使用している製品があるものに限られることから、「別に告示する電気工作物」として、平成28年経済産業省告示第237号第1条において、変圧器(電気事業法第38条第4項各号に掲げる事業を営む者が設置する柱上変圧器を除く。)、電力用コンデンサー、計器用変成器、リアクトル、放電コイル、電圧調整器、整流器、開閉器、遮断器、中性点抵抗器、避雷器及びOFケーブルの12種類を示している。
また、電気工作物である高濃度PCB使用製品の要件については、PCB特措法第2条第4項第2号及びポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法施行令(平成13年政令第215号)第4条第1項の規定に整合させ、本項において「別に告示する電気工作物であって、ポリ塩化ビフェニルを含有する絶縁油(当該絶縁油に含まれるポリ塩化ビフェニルの重量の割合が0.5パーセントを超えるものに限る。)を使用するもの」と規定しているが、個別具体の対象製品については、「ポリ塩化ビフェニルを含有する絶縁油を使用する電気工作物等の使用及び廃止の状況の把握並びに適正な管理に関する標準実施要領(内規)」(平成28年10月25日 経済産業省商務流通保安グループ)のⅡ.2.(1)に、「高濃度PCB含有電気工作物」として規定されているので、これを参照されたい。
参考まで、「絶縁油に含まれるPCBの重量の割合が0.5パーセントを超えるもの」とは、絶縁油に含まれるPCBの量が試料1kgにつき5,000mgを超えるものに等しい。
「別に告示する期限」としては、平成28年経済産業省告示第237号第2条において、解説19.3表のとおり規定されている。
解説19.3表タップで拡大
特例の期限が適用される「期限から一年を超えない期間に当該電気工作物を廃止することが明らかな場合」とは、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)に基づき、高濃度PCB廃棄物の処分を行う特別管理産業廃棄物処理業者との間で、期限から一年を超えない期間に廃棄することが明らかであることを証する書類に記載された廃棄予定年月で把握できる場合等がこれに当たる。
なお、不要となったPCB使用電気機械器具及び電線は、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(厚生労働省、都道府県、政令市)の収集、運搬、処分等に関する規制の適用を受ける。
【関連解釈】 第32条
第15項 本条第8項にも同様の規定があるが、第8項は発電所等に施設される貯油施設についての規定であり、出力10kW未満の内燃力発電設備や燃料電池発電設備等、発電所扱いとはならない小規模発電設備については適用されないため、別途本項を定めたものである。基本的な考え方は、第8項の解説に記されているとおりである。
なお、本項は、燃料の貯蔵量からして、仮に燃料が漏れたとしても生活環境に係る被害が想定されない程度の設備についてまで、排水ピットの施設等の措置を求めるものではない。
[⑰改正点] 新規に追加した。

電技解釈はこちら

公式資料該当頁: p.6–13

令和7年11月

出典: 「電気設備に関する技術基準を定める省令の解説」(経済産業省)(https://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/law/denjikokuji.html )を加工して作成

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