電気設備の技術基準の解釈の解説

第89条(特別高圧架空電線と支持物等との離隔距離)

経済産業省の一次資料を確認(新しいタブで開く)該当頁の目安 p.136

〔解 説〕 本条は、特別高圧架空電線路では電線とその支持物、腕金類、支柱又は支線との間が対地絶縁距離の最低箇所になるので、電線と支持物との間で確保すべき絶縁間隔を示したものである。
本条の主旨は、電線路内部に発生する過電圧(開閉サージ電圧、一線地絡事故時の健全相に発生する過電圧等)に対しては、風速20m/s程度の風により電線が横振れした場合においても、電線と支持物との間で容易にせん絡を起こさないというものである。したがって、風速20m/s程度の風に対しても89-1表の離隔距離を確保することで考えている。
89-1表の数値は、各電圧階級に応じ、それぞれ、がいしの50%交流注水せん絡電圧に対応する棒間隔に相当する値となっているが、内部過電圧のうち支配的な開閉サージを対象とした離隔距離と考えてよい。また、この値は、発蓄変電所等における屋外母線の対地最小絶縁間隔と比較して小さい値となっているが、架空電線路の場合は前述のとおり風により電線が振れた場合の数値であって、振れがない場合の絶縁間隔が母線の絶縁間隔とほぼ等しくなるようになっている。
なお、この値は、絶縁間隔の標準を示したものであり、技術上やむを得ない場合であって、かつ、その地域の風の強弱等を考慮して危険のおそれがないように施設するときは、80%まで減じることができることとしている。
第二号は、電気学会技術報告「架空送電線路の絶縁設計要綱」(昭和61年)で開閉サージの電圧及び風の強さを統計量としてとらえ開閉サージによるせん絡の発生確率を計算し、せん絡確率を事実上問題のない程度に抑制するように、特別高圧架空電線と支持物との間の離隔距離を決定する手法が提案され、この手法によれば第一号による絶縁強度と同等の絶縁強度が得られることが認められたため、H10解釈で追加したものである。
同要綱によれば、電線と支持物との離隔を標準絶縁間隔(電撃に対するアークホーンとの協調間隔)及び異常時絶縁間隔(線路の最高許容電圧に対する絶縁間隔)を確保できるように決めれば、開閉サージ電圧による電線と支持物間でのせん絡確率は事実上無視できる程度に小さくなることから、このようなケースでは開閉サージに対する検討は省略できるとされている。
なお、開閉サージ電圧の大きさ、風の強さの分布等については同要綱を参照されたい。
ここで、ケーブルについては、ケーブル自体に十分な絶縁効力があり、支持物との離隔距離については保安上問題がなく、例えば、支持物で直接支持される場合もある。また、第108条に規定する15kV以下の特別高圧架空電線路(解説)は、特例扱いとしている。

公式資料該当頁: p.136

令和7年11月20日改正

出典: 「電気設備の技術基準の解釈の解説」(経済産業省)を加工して作成

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