電気設備の技術基準の解釈の解説
第218条(IEC60364規格の適用)
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〔解 説〕 本条は、IEC 60364規格(以下「IEC 60364」という。)を国内において適用する場合の規定である。
IEC(International Electrotechnical Commission:国際電気標準会議)は1906年に設立された、電気・電子並びにそれらに関連する技術に関する国際規格を作成、発行している国際的な組織であり、その規格は世界各国において広く採用されている。
IECには分野ごとに90を超えるTC(Technical Committee:技術委員会)が設けられているが、IEC 60364はそのうちTC64「低圧電気設備」において作成、発行された規格であり、公称電圧交流1,000V又は直流1,500V以下の電圧で供給される、住宅施設、商業施設及び工業施設などにおける電気設備に適用される。
IEC 60364は解説218.1図に示すように第1部、第4部、第5部、第6部及び第7部の5つの部から構成されており、第1部では基本的原則、一般特性の評価、用語の定義などの総則的な事項が、また第4部から第6部では具体的な規定が、さらに第7部では、プールや建設現場などの特殊場所に関する特記的な事項が規定されている。
第1項
第1項は、218-1表に掲げられている日本産業規格(IEC 60364に対応するJIS)又はIEC規格により需要場所に施設する低圧の電気設備を施工できることを定めている。従来、IEC 60364とIEC 60364に対応するJISを併記していたが、同JISにはデビエーションが設けられており、IEC 60364とIEC 60364に対応するJISが完全には一致しないため、これらを併記しないこととした。なお、電気事業者の発電、蓄電。変電、送配電設備は適用対象外である。
218-1表に掲げた規格は、IEC 60364は上述したように第1部から第7部までで構成されており、それぞれの部、章又は節ごとに異なる規格番号が付けられているが、それらのうち、電気設備により感電、火災、その他人体に危害を及ぼし、又は物件に損傷を与えるおそれがないように施設するために必要な技術要件を規定した規格を218-1表に掲げた。また一方で、他法令で規定している技術要件や低圧電気設備の過電圧保護等、現行の電技で規定していないものについては保安上問題ないと判断したものは218-1表から除外している。
適用する電圧については、IEC 60364では交流1,000V又は直流1,500V以下と規定されているものの、国内では低圧(交流600V以下、直流750V以下)、高圧(交流600Vを、直流750Vを超え、7,000V以下)、特別高圧と区分されているため、低圧(交流600V以下、直流750V以下)の範囲に限定している。
ただし書では、適用できる接地系統について規定している。これは、IEC 60364では大きく3種類の接地方式(TN、TT、IT)を規定しているが、低圧配電設備と需要設備の接地工事の整合がとれていないと接地機能が働かず危険であるためである。国内における現状の低圧配電設備はこのうちTT接地方式(電源の接地と、負荷機器の接地を個別に取る方式)に相当する。したがって、電気事業者の配電線から600V以下の電圧で直接供給される需要設備の接地方式は当面、TT接地方式に限定される。
IEC 60364-7-722は、本条での適用を可としたものであり,第199条の2の代替としての使用はできないことに留意されたい。
IEC 60364-8-82は、本条での適用を可としたものであるが,一般送配電事業者又は配電事業者が運用する電力系統と接続する場合は、第8章「分散型電源の系統連系設備」に準じて施設する必要がある。
第2項
第2項は、第3条から第217条までの方式(以下「従来方式」という。)とIEC 60364を混用することを禁止する規定である。具体的には同一の電気使用場所の電気設備における従来方式とIEC 60364の混用を禁止しており、従来方式又はIEC60364どちらか一方の規定により施設しなければならない。ただし、電気使用場所に高圧及び特別高圧部分と低圧部分が混在している場合には、高圧、特別高圧部分は従来方式により施設し、低圧部分はIEC 60364により施設することは混用にはならない。また、同一の需要家構内に複数の低圧電気使用場所が、電線路のみで接続されている場合も、低圧電気使用場所ごとに従来方式又はIECで施設されていれば、混用にはならない。(→IEC 60364の適用例参照)
ただし書は、平成24年度電気施設技術基準国際化調査(電気設備)及び平成26年3月10日の電力安全小委員会での報告を踏まえ、故障時に他施設に対し異常電圧による支障が発生しない施設方法として、接地抵抗値を合理的に管理できる規定を追加したものである。(H26改正)
第3項
第3項は、IEC 60364で施工する場合に使用できる電気機械器具の特例を規定している。
IEC 60364-133.1「電気機器の選定:一般事項」やIEC 60364-511「規格適合」では、設備に使用する電気機械器具はIEC規格に相当する規格に適合することを要求している(ここで言う電気機械器具とは、電線や保護機器などの電気設備を構成する電気機械器具であり、負荷機器は含まれない)。なお、平成26年以前は、CVケーブルは、電気用品安全法の技術上の基準を定める省令の適合品又はJIS適合品であれば、これを使用できることを規定していたが、平成25年度電気施設技術基準国際化調査(電気設備)の調査結果及び平成26年3月10日の電力安全小委員会での報告を踏まえ、IEC規格に対応したJISが整備されたことなどから、当該規定を削除した。(H26改正)
配線用遮断器又は漏電遮断器については、従来から引用していたJIS C 8370「配線用遮断器」及びJIS C 8371「漏電遮断器」が廃止されたことを踏まえ、引用する規格を、平成20年度の国際化調査において、廃止されたJISに代わり引用することが適当と報告された新しいJISに改めた。新たに引用するJISにはいずれも附属書1と附属書2があるが、使用機材の国際整合化及び混用による危険防止の観点から、本条では、JIS C 0364シリーズによって施工する電気設備用の遮断器について規定した附属書1を引用している。
解説218.1図
IEC 60364の適用例(電気使用場所の単位の分類)
A.高圧又は特別高圧の需要家
I.高圧又は特別高圧の需要家構内(需要場所において、低圧側の全てをIEC 60364により施設する場合
解説218.2図
Ⅱ.高圧又は特別高圧の需要家構内(需要場所)において、高圧側で分岐して異なる電気使用場所に電気が供給されている場合
解説218.3図
Ⅲ.高圧又は特別高圧の需要家構内(需要場所)において、変圧器の低圧側で分岐して異なる電気使用場所に電気が供給されている場合
解説218.4図
B.低圧需要家
Ⅰ.低圧需要家にIEC 60364を適用する場合
解説218.5図
Ⅱ.同一需要家構内(需要場所)の異なる電気使用場所に従来方式とIEC 60364を適用する場合
解説218.6図