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4. 無人航空機のシステム

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無人航空機の飛行の安全に関する教則(令和8年7月7日公布 第5版)

国土交通省の公表資料に基づく表示(非公式) · 学科試験適用 2026-07-14

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緑を背景に静止飛行する無人航空機

写真: Pexels

4.1無人航空機の機体の特徴(機体種類別)

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回転翼航空機(マルチローター)、回転翼航空機(ヘリコプター)及び飛行機などが該当する。
回転翼航空機(マルチローター)及び回転翼航空機(ヘリコプター)は、垂直離着陸や空中でのホバリングが可能という特徴がある。一方で、飛行機は、垂直離着陸やホバリングはできないが、回転翼航空機に比べ、飛行速度が速く、エネルギー効率が高いため、長距離・長時間の飛行が可能という特徴がある。さらに、回転翼航空機のように垂直離着陸が可能で、巡行中は飛行機のように前進飛行が可能となる、両方の特徴を組み合わせたパワードリフト機(Powered-lift)もある。

4.1.1飛行機

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(1) 機体の特徴

飛行機は回転翼航空機と比べ高速飛行、長時間飛行、長距離飛行が可能であるが、一般に、安全に飛行できる最低速度が決められており、それ未満での低速飛行ができない。水平離着陸には広いエリアが必要であり、高度な操縦技能と飛行制御技術が必要である。一方、適切な機体設計によって無操縦・無制御でも飛行安定が達成でき、仮に故障などによって飛行中に推力を失っても滑空飛行状態になれば、すぐには墜落しない。
飛行機は、翼に揚力を発生させて自重を支えることができるのが特徴である。このため比較的少ないエネルギーで飛行し、長距離飛行が可能になる。エレベーター(上下ピッチ方向)、エルロン(左右ロール方向)、ラダー(左右ヨー方向)、スロットル(推進パワー)の複合的な操縦で飛行する。離着陸には機体のサイズに合わせた滑走路が必要となる。滑空するため墜落、不時着する場合の落下地点を狭い範囲に抑えることができない。推力により前進し空気を掴み揚力が生まれるので、回転翼航空機とは違いホバリングや後退、横移動はできない。横方向の移動はバンクターン(旋回)で行う。姿勢安定装置を使用しない場合はバンクターンの操作はエルロンとエレベーターの複合である。過度の低速飛行や過度の上昇角度、過度の旋回半径小により翼面から空気が剥離する失速という状態に陥ることがある。
失速時は舵の操作が効かなくなる。これは飛行機にとって極めて危険な状態である。失速を回避するためにも操縦には高い技能が求められる。特に技能が必要なのは手動操縦における離着陸である。
離着陸含めて自動飛行を行う場合は、発射装置や回収装置などの地上設備が必要となる場合がある。

(2) 大型機(最大離陸重量25kg 以上)の特徴

大型機(最大離陸重量25kg 以上)は主翼面積が大きくなるため、よりペイロード(積載可能重量)を大きくすることができる。ガソリンエンジンなど推進動力の選択肢も広がるのでより長距離・長時間飛行も可能になる。25kg 未満の飛行機に比べて風の影響も受けにくくなる。大型機は、事故発生時の影響が大きいことから、操縦者の運航への習熟度及び安全運航意識が十分に高いことが要求される。大型機は機体の慣性力が大きいことから、増速・減速・上昇・降下などに要する時間と距離が長くなるため、障害物回避には特に注意が必要である。緊急着陸地点の選定も小型機より広い範囲が必要となる。一般に小型の機体よりも騒音が大きくなるため、飛行ルート周囲への配慮が必要である。

4.1.2回転翼航空機(ヘリコプター)

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(1) 機体の特徴

回転翼航空機(ヘリコプター)は、垂直離着陸、ホバリング、低速飛行が可能であるが、これには大きなエネルギー消費がともない、風の影響を受けやすい。同じ回転翼航空機であるヘリコプター型とマルチローター型で比べると、ヘリコプター型は1組のローターで揚力を発生させるため、回転翼航空機(マルチローター)に比べローターの直径が大きく、空力的に効率良く揚力を得る事が出来る。
回転翼航空機(ヘリコプター)においては以下に示すような機構が必要であり、構造的に複雑となっている。
⚫ ローターの回転面を傾けたり(機体を前後左右に運動させる場合)、ローターピッチ角を変えたり
(上昇・降下させる場合)するために必要な機構(スワッシュプレート等)
⚫ ローターの反トルクを打ち消したり、向き(ヨー方向)を変える操縦に用いたりするテールローター

(2) 大型機(最大離陸重量25kg 以上)の特徴

回転翼航空機(ヘリコプター)において最大離陸重量25kg 以上の大型機では慣性力が大きく操舵時の機体挙動が遅れ気味になるため、特に定点で位置を維持するホバリングでは早めに操舵することが必要となる。また一般的に小型の機体よりエンジン騒音やローター騒音が大きくなる。

4.1.3回転翼航空機(マルチローター)

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(1) 機体の特徴

回転翼航空機(マルチローター)は機体外周に配置されたローターを高速回転させ、上昇・降下や前後左右移動、ホバリングや機体を水平回転させることが出来る。大きなエネルギー消費により、複数のローターを高速回転させ揚力を得て飛行するが、風の影響を受けやすく飛行の安定性を高めるため、フライトコントロールシステムを用いローターの回転数を制御し、機体の姿勢や位置を安定させている。
操縦は送信機に備わるコントロールスティック等を操作して行う。
ローターの数によってそれぞれ呼称が異なる(ローターの数4:クワッドコプター、6:ヘキサコプター8:オクトコプター)。
モーター性能を同一とした場合、ローターの数が多いほど故障に対する耐性が向上し、ペイロード(積載可能重量)が増える。
ローターの回転方向は、時計回転(CW:クロックワイズ)と反時計回転(CCW:カウンタークロックワイズ)の方向で構成され、反トルクによりの機体の回転バランスを保っている。

1) 上昇、ホバリング、降下

機体に備わる全てのローターを回転させ回転数を増加させていくと、機体重量以上の揚力を得ると上昇し始める。機体重量と揚力が釣り合い、対地高度が安定した状態を継続するとホバリングとなる。
ホバリング状態からローター回転数を下げると降下する。

2) 前後、左右移動

機体の前後左右移動は、その指示した側のローターの回転数を下げ、反対側のローター回転数を上げることで機体が傾き、ローター推力の合力が、指示した方向に傾くので、傾いた方向に機体が移動する。

3) 水平回転

ローターの反トルクバランスを崩すと機体の水平回転が始まる。
揚力を得ている状態で、右もしくは左回転を指示すると、指示した回転方向のローターの回転数が下がりトルクバランスが崩れ回転が始まる。

4) 回転翼航空機(マルチローター)と機体の動き

回転翼航空機(マルチローター)を操縦する際に、機体の動きを指示するために用いられる用語として以下のものがある。
⚫ スロットル:上昇・降下
⚫ ラダー:機首方向の旋回
⚫ エルロン:左右移動
⚫ エレベーター:前後移動

(2) 大型機(最大離陸重量25kg 以上)の特徴

回転翼航空機(マルチローター)の最大離陸重量25kg 以上の大型機の特徴としては、以下のものが挙げられる。
⚫ 機体の対角寸法やローターのサイズやモーターパワーも大きくなり、飛行時の慣性力も増加し、上昇・降下や加減速などに要する時間と距離が長くなる。
⚫ 離着陸やホバリング時の地面効果等の範囲が広がり、高度な操縦技術を要する。
⚫ 飛行時機体から発せられる騒音も大きくなり周囲への影響範囲も広がる。

4.2.1夜間飛行

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(1) 夜間飛行と昼間(日中)飛行の違い

航空法では原則として無人航空機は日出から日没までの間において飛行させることになっている。これ以外の夜間(日没から日出までの間)に飛行させる場合は承認が必要である。日没及び日出時刻は地域により異なるため、事前に確認すること。地形や人工物等の障害物も視認できないため、離着陸地点や計画的に用意する緊急着陸地点、飛行経路中の回避すべき障害物も視認できるように地上照明を当てる。機体に搭載されたビジョンセンサーが夜間に対応していない場合は、衝突回避・姿勢安定などの安全機能が使用できない可能性があることに注意が必要である。

(2) 夜間飛行のために必要な装備

夜間飛行のための必須装備として、無人航空機の姿勢及び方向が正確に視認できる灯火を有することが求められる。ただし、無人航空機の飛行範囲が照明等で十分照らされている場合は、この限りではない。また、送信機については、操縦者の手元で位置、高度、速度等の情報が把握できるものを使用することが望ましい。

4.2.2目視外飛行

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(1) 目視外飛行と目視内飛行の違い

目視外飛行では機体の状況や、障害物、他の航空機等の周囲の状況を直接肉眼で確認することができないので、機体に設置されたカメラや機体の位置、速度、異常等の状態を把握することが必要である。

(2) 目視外飛行のために必要な装備

目視外飛行では周囲の安全を確認する補助者が配置された場合に必要な装備がある。なお、補助者を配置しない場合には追加される装備がある。主なものは、以下のとおり。
① 目視外飛行では周囲の安全を確認する補助者が配置された場合に必要な装備
⚫ 自動操縦システム及び機体の外の様子が監視できる機体
⚫ 搭載カメラや機体の高度、速度、位置、不具合状況等を地上で監視できる操縦装置
⚫ 不具合発生時に対応する危機回避機能(フェールセーフ機能)、電波断絶時の自動帰還や空中停止機能、GNSS電波異常時の空中停止や安全な自動着陸、電池異常時の発煙発火防止等の機能がある。
② 補助者を配置しない場合に追加する必要のある装備
⚫ 航空機からの視認性を高める灯火、塗色
⚫ 機体や地上に設置されたカメラ等により飛行経路全体の航空機の状況が常に確認できるもの
⚫ 第三者に危害を加えないことを、製造事業者等が証明した機能
⚫ 機体の針路、姿勢、高度、速度及び周辺の気象状況等を把握できる操縦装置
⚫ 計画上の飛行経路と飛行中の機体の位置の差を把握できる操縦装置

4.3.1無人航空機の飛行原理

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無人航空機が飛行するためには、重力に対抗する上向きの力を必要とする。飛行機では主翼に発生する揚力で重力に対抗する。一方、飛行機には飛行速度と逆向きに空気抵抗である抗力が働くが、それに抗するために回転翼であるプロペラ等による推力が必要である。一方、回転翼航空機(ヘリコプター)及び回転翼航空機(マルチローター)においては、重力に対抗する上向きの力はプロペラ(ローター)による推力によって生み出される。機体が運動すると、機体には飛行機と同様に抗力も作用するが、推力の大きさを重力以上にし、機体姿勢を変化させてこれに抗する。これら機体に働く力が釣り合ったとき、機体は速度と姿勢を一定とする定常飛行(釣り合い飛行)を行う。
飛行中の航空機に流入する空気の機体に対する角度を迎角と横滑り角で表す。機体の前後・上下を含む面に空気流入の向きを投影したときに、前後軸とのなす角を迎角という。下方から空気が流入するときに迎角は正である。また、機体の前後・上下を含む面と空気流入の向きの面のなす角を横滑り角という。
機体右側から空気流入するときに横滑り角は正である。機体に作用する揚力と抗力などの空気力、モーメントは流入空気の速さとともに、迎角、横滑り角で決まる。
航空機の姿勢はピッチ、ロール、ヨーとよばれる角度で表現する。機体の機首を上げ下げする回転がピッチ、機体を左右に傾ける回転がロール、機体を上から見たときの機首の左右の回転がヨーである。水平状態からのそれぞれの角度をピッチ角、ロール角(バンク角)、ヨー角(方位角)とよび、それらの角速度をピッチ角速度(ピッチング)、ロール角速度(ローリング)、ヨー角速度(ヨーイング)とよぶ。
一般に、飛行機はプロペラによる推力によって速さを制御し、また、ピッチ、ロール、ヨーの姿勢を変化させることで飛行速度の向きを制御する。基本的に、ピッチを変化させるための舵が水平尾翼にあるエレベーター(昇降舵)、ロールを変化させるための舵が主翼にあるエルロン(補助翼)、ヨーを変化させる舵が垂直尾翼にあるラダー(方向舵)である。

4.3.1.1揚力発生の特徴

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流れる空気の中に翼のような流線形をした物体が置かれると物体には空気力が作用するが、流れと垂直方向に作用する力を揚力、流れの方向に働く力を抗力とよぶ。翼の前縁と後縁を結ぶ翼弦と流れのなす角を迎角といい、空気が下方から流入する時に迎角は正である。一般に迎角が増すと揚力、抗力ともに増加する。翼の断面形状が上面の湾曲が下面より大きな翼型は、効率よく揚力を発生できるので翼型やローター断面に利用される。しかしながら、あまり大きな迎角にすると、流れは翼の表面から剥離し、揚力は減じ、抗力が増大し、失速を招く。飛行中の飛行機が失速状態に陥ると、機体は急降下を始める。
プロペラは、2枚以上のブレードとよばれる翼が回転して推力を発生する。プロペラの回転にはトルクが必要であり、プロペラを回転させる原動機には反トルクが作用する。
回転翼航空機(マルチローター)はプロペラからの反トルクを相殺するために、偶数個のプロペラを半数ずつ異なる向きに回転させるのが一般である。各プロペラの回転数を変化させ、推力とトルクを変化させてピッチ、ロール、ヨーの運動を行う。一方、一般的に、回転翼航空機(ヘリコプター)はメインローターの反トルクをテールローターで相殺する。メインローターは1 回転する間にブレードのピッチ角を周期的に変化させる可変ピッチ機構を持ち、これによって機体のピッチ、ロールの姿勢制御を行い、テールローターの推力を変化させてヨーの姿勢制御を行う。

4.3.2無人航空機の飛行性能

〔一等〕

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〔一等〕
カテゴリーⅢ飛行を行うにあたっては、無人航空機の飛行性能(離陸性能、上昇性能、加速性能、巡行性能、旋回性能、降下性能、着陸性能等)及びこれに影響を与える要因(機体重量、飛行速度、空気密度や風などの大気状態等)について理解することが必要となる。

4.3.2.1無人航空機へのペイロード搭載

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無人航空機には、ペイロードを搭載できない機体を除き、機体ごとに安全に飛行できるペイロードの最大積載量が定められている。ただし、ペイロードの最大積載量とペイロード搭載時の飛行性能は飛行高度、大気状態によっても異なり、また飛行機の場合は離着陸エリアの広さによっても異なる。機体重量が変化すると航空機の飛行特性(安定性、飛行性能、運動性能)は変化するため注意が必要である。機体の重心位置の変化は飛行特性に大きな影響を及ぼすため、ペイロードの有無によって機体の重心位置が著しく変化しないようにしなければならない。

4.3.3飛行性能の基本的な計算

〔一等〕

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〔一等〕
カテゴリーⅢ飛行を行うにあたっては、無人航空機の飛行性能に関わる以下のような基本的な計算(機体重量、揚力、推力、空気密度、飛行速度、高度、回転翼の回転角速度の関係等)について理解しておく必要がある。

(1) 飛行機の揚力・回転翼航空機の推力

飛行機の水平定常飛行においては、機体重量𝑊 、揚力𝐿 、空気密度𝜌、飛行速度𝑉 の間に以下の関係がある。
数式:式1タップで拡大
プロペラなどの回転翼の推力𝑇 は、空気密度𝜌、回転角速度𝜔の間に以下の関係がある。
数式:式2タップで拡大
回転翼航空機(ヘリコプター)及び回転翼航空機(マルチローター)のホバリング時には、機体重量𝑊と推力𝑇 の間に以下の関係がある。
数式:式3タップで拡大
また、回転翼の消費パワー(仕事率)𝑃 は、空気密度𝜌、回転角速度𝜔、推力𝑇 の間に以下の関係がある。
数式:式4タップで拡大
大気には標準大気が定められており、空気密度は高度に対して以下の表のように変化する。高度が1000m 増加すると、空気密度は約0.9 倍になる。
表帯 p46タップで拡大
例えば、高度3000mでの空気密度は高度0m と比べると、0.74 倍になる。そのため、飛行機が同じ飛行速度で飛行するならば揚力は0.74 倍になる。そこで√1/0.74 ≒1.16 倍の飛行速度が必要である。回転翼航空機の場合も、同じ回転角速度で発生するプロペラの推力は0.74 倍になり、同じ機体重量の回転翼航空機を飛行させるためには√1/0.74 ≒1.16 倍のプロペラの回転角速度が必要であり、そのために必要な消費パワーは0.74×(√(1/0.74))³ ≒1.16 倍になる。
ペイロードが搭載されるなどして飛行機の機体重量が2 倍になると、2 倍の揚力が必要となり、高度などの他の条件が同じであれば、√2 ≒1.4 倍の機体速度が必要である。回転翼航空機の場合、機体重量が2 倍になると、2 倍の推力が必要となり、高度などの条件が同じであれば、√2 ≒1.4 倍のプロペラ回転角速度が必要で、消費パワーは(√2)³ ≒2.8倍になる。
飛行機において、機体重量が2倍になると、揚力が2倍必要になり、同じ迎角で飛行するためには√2 ≒1.4 倍の飛行速度が必要になる。飛行中に速度を落としていくと、揚力を得るためには迎角を大きくしなければならない。しかし、迎角が大きくなりすぎると失速する。すなわち、飛行機には最低飛行速度(失速速度)が存在する。飛行速度の増加が必要ということは最低速度もそれに比例して増加することを意味する。すなわち、飛行機の機体重量が2 倍になると、最低速度は1.4 倍となる。

(2) 飛行機の旋回半径

飛行機がバンク角(ロール角)𝜙の定常旋回飛行を行うためには、力のつり合いから、水平定常飛行と比べて1/cos ϕ 倍の揚力が必要であり、飛行速度𝑉 、旋回半径𝑟 、重力加速度𝑔 の間に以下の関係がある。
数式:式5タップで拡大
例えば、飛行速度10m/s、バンク角20°の場合の旋回半径𝑟 は、重力加速度𝑔≒9.8m/𝑠2、tan 20° ≒0.36であるので、以下のように求められる。
数式:式6タップで拡大
また、cos 20° ≒0.94であるので、1.06 倍の揚力が必要である。

(3) 飛行機の滑空距離

飛行機の滑空時に飛行経路が水平面となす角を滑空角(降下角)とよぶ。無推力の定常滑空飛行状態での滑空角𝛾は、揚力𝐿 、抗力𝐷 によって以下のように求められる。
数式:式7タップで拡大
よって、ある高度ℎ からの滑空距離𝑑 は以下のように求められる。
数式:式8タップで拡大
ここで、𝐿/𝐷 は揚抗比である。
例えば、揚抗比15 の無推力の定常滑空飛行状態であれば、滑空角𝛾 は
数式:式9タップで拡大
となり、高度ℎ= 100mからの滑空距離𝑑 は、
数式:式10タップで拡大
となる。

(4) 水平到達距離(水平投射の場合)

高度ℎを飛行する飛行速度𝑣の無人航空機が、揚力を失い落下を始める場合を考える。無人航空機を質点とみなせるものとし、空気抵抗は無視できると仮定すると、落下開始地点から地上に墜落するまでの水平距離𝑥は、
数式:式11タップで拡大
で求めることができる。但し、𝑔は重力加速度である。

4.4.1フライトコントロールシステム

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(1) フライトコントロールシステムの基礎

フライトコントロールシステムは、搭載されている各種センサ(GNSS、ジャイロ、加速度、方位、高度等)からの情報や送信機から発信された情報を処理し機体を制御するための信号を送るシステムである。なお、センサ類は、キャリブレーションを必要とするものが多いため、各機体で指定された方法で、キャリブレーションが正しく行われているかを常に注意する必要がある。フライトコントロールシステムを構成する一般的なデバイスには以下のものがある。
表帯 p48タップで拡大

(2) 無人航空機の飛行に用いられる各種センサの原理及び使用環境

1) ジャイロセンサ

ジャイロセンサは、単位時間当たりの回転角度の変化を検出する装置であり、これにより、風などで機体が傾いたときに、無人航空機の傾きや向きの変化を検出し、フライトコントロールシステムに情報を伝える。

2) 加速度センサ

加速度センサは3次元の慣性運動(直行3軸方向の並進運動)を検出する装置であり、無人航空機の速度の変化量を検出するセンサである。ジャイロセンサと合わせて機体の姿勢を制御する。

3) 地磁気センサ

地磁気センサは、地球の磁力を検出して方位を測定する。

4) 高度センサ

高度の計測には主に以下のセンサがある。
気圧センサは、気圧の変化を歪みゲージを利用して読み取り、高度を計測する。超音波センサは音波の反射時間から高度を計測する。LiDAR はレーザー光(赤外線)を照射し反射時間から高度を計測する。

4.4.2無人航空機の主たる構成要素

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(1) バッテリー

バッテリーに関係する用語、単位、求め方及びその概要は以下のとおりである。
表帯 p49タップで拡大

(2) モーター、ローター(プロペラ)

電動の無人航空機においてローターを駆動するモーターには、ブラシモーターとブラシレスモーターがあり、ブラシレスモーターの特徴は、メンテナンスが容易(モーター内部の清掃、ブラシの交換が不要等)、静音、長寿命であることが挙げられる。また、ローターは通常回転方向(時計回転(CW:クロックワイズ)/反時計回転(CCW:カウンタークロックワイズ))に合わせた形状となっており、モーターの回転方向に合わせて取り付けるよう注意が必要である。

(3) ESC(エレクトロニックスピードコントローラー)

モーターの回転数はESC(エレクトロニックスピードコントローラー)により制御されており、モーターで駆動されたローターの回転数を増減させることにより揚力や推力を変化させている。

4.4.3送信機

〔一等〕

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(1) 送信機から無人航空機へ送信される指令の流れ

無人航空機への指令は送信機から機体へ送られる。機体では、受信機が指令を受け取りメインコントローラーからモーター又はサーボを駆動させ機体を操縦している。

(2) 送信機の信号〔一等〕

送信機の信号は、同じ周波数帯の電波が同時かつ複数使用されているような場所では複数の電波が干渉して混信による誤作動が起きる可能性がある。電波混信の予防として飛行させる前に測定器などで周辺の電波の状態を確認することが望ましい。無人航空機で使用される送信機からの電波だけでなく、無線LANやWi‐Fi、高圧送電線の影響を受ける場合もあるため、周辺環境の確認が必要である。

(3) 送信機の操縦と機能

無人航空機は、送信機のスティックを操作して、機体の重心を中心とする3 軸の回転(ピッチ(機体の左右を軸とした回転)、ロール(機体の前後を軸とした回転)、ヨー(機体の上下を軸とした回転))やローターの推力の増減といった機体の動きの制御を行う。以下のとおりスティック操作による機体の動きの割り当てはモードにより異なる。また、スティックのニュートラル位置を調整するためのトリムスイッチがある場合もある。
① 回転翼航空機の場合
(a) スロットル: ローターの推力(揚力)の増減(機体の上昇・降下)
(モード1)右側スティックの上下操作 (モード2)左側スティックの上下操作
(b) エレベーター: ピッチ方向の操作 (機体の前後移動)
(モード1)左側スティックの上下操作 (モード2)右側スティックの上下操作
(c) エルロン: ロール方向の操作 (機体の左右移動)
(モード1/モード2)右側スティックの左右操作
(d) ラダー: ヨー方向の操作(機首の左右旋回)
(モード1/モード2)左側スティックの左右操作
② 飛行機の場合
(a) スロットル: プロペラの推力の増減(機体の速度変化)
(モード1)右側スティックの上下操作 (モード2)左側スティックの上下操作
(b) エレベーター: ピッチ方向の操作 (機体の上昇・降下)
(モード1)左側スティックの上下操作 (モード2)右側スティックの上下操作
(c) エルロン: ロール方向の操作(機体の左右旋回)
(モード1/モード2)右側スティックの左右操作
(d) ラダー: ヨー方向の操作(機体の左右旋回)
(モード1/モード2)左側スティックの左右操作

4.4.4機体の動力源

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(1) 機体の動力源

無人航空機の機体の動力源として主に、電動かエンジンが使用されている。電動機のメリットは、振動、騒音が少ないため軽量化できるが、飛行時間が短いというデメリットがある。エンジン機のメリットは、飛行時間が長く長距離飛行が可能であるが、エンジンによる騒音が電動に比べ大きいというデメリットある。

(2) バッテリーの種類と特徴

1) リチウムポリマーバッテリーの特徴

リチウムポリマーバッテリーはゲル状のポリマー電解質を採用したバッテリーであり、多くの無人航空機に使用されている。
リチウムポリマーバッテリーには、エネルギー密度が高い、電圧が高い、自己放電が少ない、メモリ効果(継ぎ足し充電などで浅い充放電を行った場合に見かけの放電容量が減少する現象)が小さい、電解質が可燃物である等の特徴がある。
満充電のリチウムポリマーバッテリーを使用し無人航空機を急上昇させた場合、直後にバッテリー残量が減った様に見えることがある。これはバッテリーから大きな電流が流れたことで一時的な電圧低下が生じたことによるものである。

2) リチウムポリマーバッテリーの取り扱い上の注意点

リチウムポリマーバッテリーの取り扱い上の注意点として以下のものが挙げられる。
⚫ 充電器は満充電になると充電を停止するが、過充電となる場合がある。
⚫ 過放電や過充電を行うと、急速に劣化が進み、寿命が短くなる。
⚫ 過放電や過充電の状態では、通常利用時よりも多くのガスがバッテリー内部に発生し、バッテリーを膨らませる原因となる。
⚫ バッテリーが強い衝撃を受けた場合、発火する可能性がある。
⚫ バッテリーが短絡した場合、発火する可能性がある。

3) 複数のセルで構成されたリチウムポリマーバッテリーの取扱上の注意

セル間の充電量のバランスを補正しながら充電することが重要である。バランスが著しく崩れたまま充電を行うとセル間の電圧差が生じ、セルによって過放電となる現象が起こり、急速に劣化が進む。そのため、セル間の充電量のバランスをとるバランスコネクタがついているタイプは、充電時にそのコネクタを充電器へ接続することが重要である。

(3) エンジン

エンジン機は、エンジンの回転を動力にローター又はプロペラを回転させ揚力と推力を得ている。エンジンにはガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、ジェットエンジン、グローエンジンなどの種類がある。
エンジンの種類により、潤滑方式、燃焼サイクル、着火温度等が異なる。燃料にも種類があり、それぞれのエンジンでメーカーが指定する燃料を適切に扱う必要がある。燃料にオイル等を混ぜた混合燃料を使用する場合は、指定された混合比での使用が必要である。

4.4.5物件投下のために装備される機器

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無人航空機で物件投下する機器は、救命機器等を機体から投下する装置や農薬散布のために液体や粒剤を散布する装置などがある。物件投下装置は、意図せず物件が落下しない構造となっているが、搭載方法や投下手順が定められているため、物件投下装置の特性と機能を熟知しなければならない。特に、物件投下用のウインチ機構で吊り下げる場合は、物件の揺れ、投下前後の重心の変化に注意しなければならない。
農薬を散布する装置は、決められた飛行速度、飛行高度など使用の詳細が定められている。風などの影響で農薬を対象区域外に飛散させないよう注意しなければならない。

4.4.6機体又はバッテリーの故障及び事故の分析

〔一等〕

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(1) 機体の故障や事故の分析〔一等〕

無人航空機の多くは、機体の異常情報を機体本体または送信機のランプや音などで知らせる機能を有している。また、飛行軌跡や機体の情報(フライトデータ)を記録している機種もあり、事故の原因分析を詳細に確認することも可能である。事故や故障の原因調査は、機体や飛行の安全性を向上させる重要な要素であるので、フライトデータを記録することが推奨される。

(2) リチウムポリマーバッテリーに関わる電気的なトラブル

リチウムポリマーバッテリーに関わる主な電気的トラブルを以下に示す。
⚫ 冬季の飛行では飛行時間が半減することがある。気温が低下すると放電能力が極端に低下するためである。
⚫ リチウムポリマーバッテリーは高密度なエネルギーを大容量で出力できるが、バッテリー残量が減り、電圧低下してくると急激に出力が弱くなり、墜落の原因となるので注意する。

4.5.1電波

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(1) 電波の特性

1) 直進、反射、屈折、回折、干渉、減衰

電波の性質の種類と特徴は以下のとおりである。電波には障害物等の後ろに回り込む回折という性質、異なる媒質にぶつかると透過、反射あるいは屈折する性質、周波数の近い電波が重なると電波干渉が発生しお互いを減衰させる性質などがある。2.4GHz の電波は回折しにくく直進性が高いため障害物の影響を受けやすくなる。
表帯 p53タップで拡大

2) マルチパス

送信アンテナから放射された電波が山や建物などによる反射、屈折等により複数の経路を通って伝搬される現象をマルチパスという。反射屈折した電波は、到達するまでにわずかな遅れを生じ、一時的に操縦不能になる要因の一つとなっている。マルチパスによって電波が弱くなり一時的に操縦不能になった場合は送信機をできるだけ高い位置に持ちアンテナの向きを変えて操縦の復帰を試みる。

3) フレネルゾーン

フレネルゾーンとは無線通信などで、電力損失をすることなく電波が到達するために必要とする領域のことをいう。無線通信での「見通しが良い」という表現は、フレネルゾーンがしっかり確保されている状態であることを意味する。
フレネルゾーンは、送信と受信のアンテナ間の最短距離を中心とした楕円体の空間で、この空間は無限に広がるが、電波伝搬で重要なのは第1 フレネルゾーンと呼ばれる部分である。このフレネルゾーン内に壁や建物などの障害物があると、受信電界強度が確保されず通信エラーが起こり、障害物がない状態に比べて通信距離が短くなる。
このフレネルゾーンの半径は周波数が高く(波長が短く)又はお互いの距離が短くなればなるほど小さくなる(2.4 GHz 帯、5.7 GHz 帯の場合、2 地点が100m 離れたケースでは2m 以下)。地面も障害物となるため、フレネルゾーンの半径を考慮してアンテナの高さを十分に確保する必要がある。

(2) 無⼈航空機の運航において使⽤されている電波の周波数帯・用途

無人航空機の運航において使用されている主な電波の周波数帯は、2.4GHz 帯、5.7GHz 帯、920MHz 帯、73MHz 帯、169MHz 帯である。169MHz 帯は主に2.4GHz 帯及び5.7GHz 帯の無人移動体画像伝送システムの無線局のバックアップ回線として使用される。電波の周波数帯や出力、使用するアンテナの特性、変調方式、伝送速度などによって通信可能な距離は変動する。

(3) 無⼈航空機以外も含めた⽇本の電波の利⽤状況〔一等〕

電波の特性として、波長が長いほど直進性が弱く情報伝達容量が小さくなるが減衰はしにくい。逆に波長が短いほど直進性が強く情報伝達容量が大きくなるが減衰はしやすい。
無人航空機の制御用通信に多く使用される極超短波は10cm~1mの波長(周波数300MHz~3GHz)で、超短波(波長1~10m、周波数30~300MHz)に比べて直進性が更に強くなるが、多少の山や建物の陰には回り込んで伝わることができる。伝送できる情報量が大きく、小型のアンテナと送受信設備で通信できることから、携帯電話や業務用無線、アマチュア無線、無人航空機など多種多様な移動通信システムを中心に、地上デジタルTV、空港監視レーダー、電子タグ、電子レンジ等幅広く利用される。
マイクロ波は1~10cmの波長(周波数3~30GHz)で、直進性が強い性質を持つため特定の方向に向けて発射するのに適している。伝送できる情報量が非常に大きいことから、衛星通信、衛星放送や無人航空機の画像伝送、無線LANに利用される。レーダーもマイクロ波の直進性を活用したシステムで、気象レーダーや船舶用レーダー等に利用される。

(4) 電波の送信、受信に関わる基本的な技術

送信機のアンテナから発射される電波の強さは、方向により異なる(無指向性のアンテナの場合は、アンテナの周囲に対して同様に発射される)。アンテナの角度は調整できるので、操縦時の送信機の持ち方や無人航空機の位置を考慮して最適なアンテナ角度を設定する必要がある。

(5) 電波の特性に伴って発⽣する運航上のトラブルの調査・分析〔一等〕

外来電波や他の設備・機器からのノイズにより無線設備の通信環境が不安定になることがある。電波環境の調査として、スペクトラムアナライザを用いて、使用している周波数と同じ電波が現地エリアで使用されている状況や、他の設備・機器からノイズが発生していないかを確認する方法がある。様々な無線局が散在する市街地での飛行のためには、電波環境の調査は非常に重要である。

(6) 電波と通信に関わる基本的な計算〔一等〕

カテゴリーⅢ飛行を行うにあたっては、電波と通信に関わる基本的な計算(周波数帯や送受信間距離を踏まえ必要となるアンテナの高さ等)について理解しておく必要がある。

1) フレネルゾーン半径と必要なアンテナの高さ

フレネルゾーンの半径:R(m)、送受信アンテナ間距離:D(m)、使用周波数f(Hz)、波長:λ(m) とすると、これらの間には以下の関係がある。
数式:式1タップで拡大
上記式を用いた、送受信アンテナ間距離:100m 、使用周波数:2.4GHz のときのフレネルゾーンの半径の具体的な導出方法を以下に示す。
上記の前提条件より、
⚫ 送受信アンテナ間距離:D=100m
数式:式2タップで拡大
⚫ 波長:λ=(3×108)÷(2.4×109)=0.125 m(光の速度を3×108m/s とした場合)と求めることができる。
以上より、フレネルゾーンの半径R は、

2)

数式:式3タップで拡大
よって理想的なアンテナの高さは1.77m以上となる。
なお、実際にはフレネルゾーン半径の60%以上のアンテナ高さが確保できていれば、フレネルゾーンに障害物がない場合と同等の通信品質を確保できるといわれている。この条件にて必要なアンテナの高さを計算すると、1.77×0.6≒1.1m以上となる。

4.5.2磁気方位

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(1) 地磁気センサの役割

地磁気センサにより、地球の磁気を検出することで機体の向き(方位)や姿勢を知ることができる。地磁気センサは正常な方位を計測しない場合があるが、それは磁力線が示す北(磁北)と地図の北に偏角が生じるためである。

(2) 飛行環境において磁気に注意すべき構造物や環境

地磁気の検出には、鉄や電流が影響を与える。一般的に影響を与えるものは、高圧線や変電所、電波塔、鉄材を多く使用された建物、新幹線や電車の鉄道、自動車、鉄板など鉄材が多く埋め込まれた場所などがあげられる。機体の姿勢や進行方向に影響を与える場合がある。

(3) 無人航空機の磁気キャリブレーション

無人航空機の磁気キャリブレーションとは、飛行前にその場所の地磁気を検出して方位を取得し、GNSS 機能やメインコントローラーに認識させることである。磁気キャリブレーションが正しく行われていないと、機体が操縦者の意図しない方向へ飛行する可能性がある。飛行させる場所により、地磁気の方向は異なるので、磁気キャリブレーションを行うことが重要である。

4.5.3GNSS

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(1) GNSS

GPS(Global Positioning System)は、アメリカ国防総省が、航空機等の航法支援用として開発したシステムである。GPS に加え、ロシアのGLONASS、欧州のGalileo、日本の準天頂衛星QZSS等を総称してGNSS(Global Navigation Satellite System/全球測位衛星システム)と言う。
GNSS は最低4 個以上の人工衛星からの信号を同時に受信することでその位置を計算することができる。機体に取り付けられた受信機により最低4基以上の人工衛星からの距離を同時に知ることにより、機体の位置を特定している。なお、安定飛行のためには、より多くの人工衛星から信号を受信することが望ましい。

(2) GNSS とRTK の精度

GPS 測位での受信機1 台の単独測位の精度は数十m の精度である。測位方式として固定局と移動局の2つの受信機を使用するRTK(Real Time Kinematic)やDGPS(Differential GlobalPositioning System)などの技術が確立され、これらの測位方式は数cm~数m レベルの精度の高い測位が可能である。

(3) GNSS を使用した飛行における注意事項

自動操縦では手動操作よりも高精度なGNSS 測位が必要である。自動操縦のためにあらかじめ地図上で設定したWay Point はGNSS の測位精度の影響を受けるため、精度が悪化した場合は実際の飛行経路の誤差が大きくなる。
GNSS の測位精度に影響を及ぼすものとしては、GNSS 衛星の時計の精度、捕捉しているGNSS衛星の数、障害物などによるマルチパス、受信環境のノイズなどが挙げられる。受信機は、周囲の地形や障害物の状況を考慮して設置する必要がある。一般的に位置精度は、水平方向に比べ高度方向の誤差が大きくなる。

4.6.1電動機における整備・点検・保管・交換・廃棄

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(1) 運航者が実施すべき、定期的な整備・点検項目

運航者(無人航空機を運航する者をいう。以下同じ。)は飛行前後だけではなく、無人航空機毎に定められた一定の期間や一定の総飛行時間ごとに整備点検を行う必要がある。そのため、各機体メーカーが設定する整備内容を熟知し、必要なタイミングで修理等の整備を行う必要がある。

(2) リチウムポリマーバッテリーの保管方法

リチウムポリマーバッテリーの保管方法における主な留意点は以下のとおり。
⚫ バッテリーの劣化を遅らせるため、長期間使用しない時は充電60%を目安に保管すること。満充電の状態での保管又は飛行後の放電状態での保管は、電池の劣化が進みやすく電池が膨らみ、使用不可になることが多いので行わないこと。
⚫ 短絡すると発火する危険があるため、バッテリー端子が短絡しないように細心の注意を払うこと。
機体コネクタとバッテリーを接続したままにしないこと。
⚫ 万が一発火しても安全を保てる不燃性のケースに入れ、突起物が当たってバッテリーを傷つけない状態で保管すること。
⚫ 落下させるなど衝撃を与えないこと。
⚫ 水に濡らさないこと。
⚫ バッテリーを高温(35°c 超)になる環境で保管しないこと。

(3) リチウムポリマーバッテリーの交換

交換時期のチェックが特に重要なものとして、リチウムポリマーバッテリーが挙げられる。
リチウムポリマーバッテリーが膨らんでいる場合は、過充電などでバッテリー内部に可燃性ガスが発生している可能性があるため、早めに交換を行う。

(4) リチウムポリマーバッテリーの廃棄方法

無人航空機の運航で生じる廃棄物は、各地方自治体のルールに従って廃棄しなければならない。事業で用いたリチウムポリマーバッテリーを廃棄する場合は、法律に則り「産業廃棄物」として廃棄する。

4.6.2エンジン機における整備・点検

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エンジン機においては、飛行前後以外に一定の期間又は一定の総飛行時間毎に、機体メーカーが定めた整備項目を整備手順に従って実施する。運航者のエンジンの整備に関する知識及び技能が不足している場合は、専門の整備業者に依頼する。

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