無人航空機の飛行の安全に関する教則
4.3.1(無人航空機の飛行原理)
無人航空機が飛行するためには、重力に対抗する上向きの力を必要とする。飛行機では主翼に発生する揚力で重力に対抗する。一方、飛行機には飛行速度と逆向きに空気抵抗である抗力が働くが、それに抗するために回転翼であるプロペラ等による推力が必要である。一方、回転翼航空機(ヘリコプター)及び回転翼航空機(マルチローター)においては、重力に対抗する上向きの力はプロペラ(ローター)による推力によって生み出される。機体が運動すると、機体には飛行機と同様に抗力も作用するが、推力の大きさを重力以上にし、機体姿勢を変化させてこれに抗する。これら機体に働く力が釣り合ったとき、機体は速度と姿勢を一定とする定常飛行(釣り合い飛行)を行う。
飛行中の航空機に流入する空気の機体に対する角度を迎角と横滑り角で表す。機体の前後・上下を含む面に空気流入の向きを投影したときに、前後軸とのなす角を迎角という。下方から空気が流入するときに迎角は正である。また、機体の前後・上下を含む面と空気流入の向きの面のなす角を横滑り角という。
機体右側から空気流入するときに横滑り角は正である。機体に作用する揚力と抗力などの空気力、モーメントは流入空気の速さとともに、迎角、横滑り角で決まる。
航空機の姿勢はピッチ、ロール、ヨーとよばれる角度で表現する。機体の機首を上げ下げする回転がピッチ、機体を左右に傾ける回転がロール、機体を上から見たときの機首の左右の回転がヨーである。水平状態からのそれぞれの角度をピッチ角、ロール角(バンク角)、ヨー角(方位角)とよび、それらの角速度をピッチ角速度(ピッチング)、ロール角速度(ローリング)、ヨー角速度(ヨーイング)とよぶ。
一般に、飛行機はプロペラによる推力によって速さを制御し、また、ピッチ、ロール、ヨーの姿勢を変化させることで飛行速度の向きを制御する。基本的に、ピッチを変化させるための舵が水平尾翼にあるエレベーター(昇降舵)、ロールを変化させるための舵が主翼にあるエルロン(補助翼)、ヨーを変化させる舵が垂直尾翼にあるラダー(方向舵)である。