電気設備の技術基準の解釈の解説

第57条(鉄柱及び鉄塔の構成等)

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第1項

〔解 説〕 本条は、架空電線路の支持物として使用する鉄柱及び鉄塔の構成材について示したもので、第1項では、構成材及びボルトの許容応力を示している。第二号から第五号では、構成材として使用される鋼板、形鋼、平鋼、棒鋼、鋼管(コンクリート又はモルタルを充てんしたものを含む。)及びボルトの規格について示している。
S38工規までは、鋼板は鋼板組立柱として使用する場合を除き、主柱材として使用できなかったが、鋼板の定義が明確でなく非常に厚い鋼板もあること、またX断面や箱断面の主柱材は鋼板を切断溶接して使用することなどから、鋼板に対する使用制限がなくなった。リベット材については、支持物の構成材として使われなくなったことからH9解釈で削除した。また、H4基準で、他の建築物におけるボルトは製品規格によるものが一般的であることから、従来、棒鋼に含めてきたボルトを構成材として独立させた。
第一号イでは、鉄柱又は鉄塔に使用する鋼板、形鋼、平鋼、棒鋼、鋼管、ボルトの許容応力について示している。この場合、許容引張応力、許容圧縮応力、許容曲げ応力、許容せん断応力及び許容支圧応力は、57-1表においてそれぞれ鋼材の降伏点又は引張強さにより算出することとしているが、鋼材又はボルトは第二号から第五号に示す規格に適合するものであることが必要である。なお、鋼板組立柱については、従来は許容応力を一律に定めていたが、H9解釈で汎用性のある材料を使用可能とするために計算式を採用した。また、H16解釈で、解説57.1表に示す範囲内で行ったボルト接合部の継手試験及び立体解析結果に基づき、許容支圧応力として1.25σY を追加した。なお、解説57.1表中の部材の材端とボルト孔中心との距離を解説57.1図に示すが、この部材の材端とボルト孔中心との距離の最小値については、電気学会電気規格調査会標準規格 JEC-127-1965「送電用鉄塔設計標準」を参照されたい。
〔解説57.1表〕
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解説57.1図
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ロの許容座屈応力は、部材の有効細長比、部材の座屈応力、部材の断面形状により異なるので計算式で示されている。
許容座屈応力に関しては、従来から片フランジで接合された山形材のような偏心圧縮材の座屈応力の低下を中心に問題とされていたが、鉄塔の大型化に伴い鋼管材、箱形断面材、十字形断面材のような断面の形状の面から、また構造的に従来のものよりも偏心の少ない鉄塔材が用いられるようになったことから、従来の方法ではこれら多種多様の部材の許容座屈応力を合理的かつ一義的に定めることが困難になったため、計算式で定められている。
計算式のΛ、σkao 、κ1 及びκ2 は、構成材の断面形状と構造上生じる偏心量の相違により定まる値であって、57-3表において下記に示すように分類して、それぞれに対して数値を示している。
鋼管、箱形断面材、十字形断面材のような対称断面をもち、部材の接合部に偏心を生じないように特に留意された偏心の極めて少ない構造材
単一山形鋼主柱材のような断面形状をもち偏心率の点で①より不利であるが、力の作用線はほぼ断面の中心を通ると考えられる偏心の比較的少ない構造材
片側フランジ接合山形鋼腹材等のような偏心の多いもの
なお、鉄柱及び鉄塔の構成材料として使用する引張強さ690N/mm2高張力山形鋼(降伏点520N/mm2)については、材料の幅厚比が14以上になると、従来の山形鋼材では見られなかった曲げねじれ座屈の発生が考えられることから、表中の係数により計算した値と曲げねじれ座屈を考慮して計算した値のいずれか小さい方の値を許容座屈応力とすることとしている。
細長比 λk =lk /r の計算は、次のように行う。
解説57.2図 (a) のように節間に支持点を持たない圧縮材では、骨組の節間長をlk とし、部材断面の最小回転半径をr とする。
解説57.2図 (b) のようなダブルワーレン骨組において、斜材をその交点でボルト締めした場合には、節点から支点までの長さl の大きい方をlk とし、部材断面の最小回転半径をr とする。
解説57.2図 (c) のように、節間で一面のみの補助材で支持された場合、又は④でいう立体的支持点間で一面のみの補助材で支持された場合のように一方向の変位に対してだけ拘束された圧縮材では、節間又は立体的な支持点間の長さの全長l をlk とし、支持方向に直角な方向のものをr とする。この場合において、節点又は立体的支持点と中間一方向支持点間の長さl ′及び最小回転半径 r min による細長比の方が大きい場合には、これによること。
解説57.2図 (d) のように、圧縮材を補強するため補助材による立体的な支持点を節間に持つ圧縮材では、その支持点と骨組の節点との間の長さ、又はその支持点が二つ以上ある場合には、支持点相互間の長さl をlk とし、最小回転半径をr とする。
解説57.2図 (e)、(f) のように、立体的に節点が一致しない場合のように一面の節間で一方向の変位に対して拘束された圧縮材、すなわち、正側面それぞれの斜材の交点が一致しない主柱材のような場合には、一面の節間の長さをlk とし、その面に直角な方向のものをr とする。この場合に、正側面節点相互の長さl ′及び最小回転半径 r minによる細長比の方が大きいときは、これによること。
解説57.2図
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有効座屈長lk は、部材の支持点間距離l を、部材の支持点状態により主柱材にあっては、lk =0.9l 、腹材にあってはlk =0.8l まで減ずることができる。すなわち、普通、鉄塔鋼材は両端が支持され、その支持条件は通常完全なピンではないので、材端拘束効果により有効座屈長lk は一般にl よりも減少し、鉄塔の座屈耐力はかなり増大することが実験的に確認されている(→解説57.3図)。
解説57.3図
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部材が1本のボルトで接合される場合には、2本以上のボルトで接合される場合に比べて、材端拘束の効果は低下するので注意を要するが、部材が1本のボルトで接合されるのは、小規模鉄塔に限られるのが普通であり、このような鉄塔では、実応力と耐力との間にかなり余裕がある場合が多いことを考慮して、鉄塔鋼材に対し一般にlk =0.9l をとれるものとした。
鉄柱の腹材で、両端が溶接されているものは、従来の実績からlk =0.7l にすることを認めている。
コンクリート(モルタルを含む。)充てん鋼管では、鉄筋コンクリート構造物の一般の計算と同様に引張力に対してコンクリートの存在は考えないが、圧縮力に対しては弾性係数と断面積の比率で鋼管とコンクリートとが力を分担するものと考えて、鋼管に換算した等価断面積及び等価回転半径をσka の計算に使用する。
ここで、等価断面積Aeq 及び等価回転半径 req は、次のように求められる。
〔数式:式1〕
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As :鋼管の断面積
Ac :コンクリートの断面積
Es :鋼管の弾性係数
Ec :コンクリートの弾性係数
n :コンクリートと鋼管の弾性係数比
〔数式:式2〕
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Is :鋼管の2次モーメント
Ic :コンクリートの2次モーメント
なお、本条の規定は、鋼材の許容応力、細長比などについては、電気学会電気規格調査会標準規格 JEC-128-1965「送電用鉄柱設計標準」及び電気学会電気規格調査会標準規格 JEC-127-1965「送電用鉄塔設計標準」に基づくものである。
第二号から第五号については、H4基準で、UHV等の大型鉄塔の構成材の規格として日本産業規格 JIS G 3129(1988)「鉄塔用高張力鋼鋼材」、JIS G 3223(1988)「鉄塔フランジ用高張力鋼鍛鋼品」、JIS G 3474(1988)「鉄塔用高張力鋼鋼管」を加え、ボルトの規格として日本産業規格 JIS B 1051(1991)「鋼製のボルト・小ねじの機械的性質」を加えた。更に、H14解釈で、鉄柱及び鉄塔の構成材料として日本電気技術規格委員会規格 JESC E 3002(2001)「鉄塔用690N/mm2高張力山形鋼の架空電線路の支持物の構成材への適用」に規定する鉄塔用690N/mm2高張力山形鋼を加え、H16解釈で、ボルトの規格として日本産業規格 JIS B 1186(1995)「摩擦接合用高力六角ボルト・六角ナット・平座金のセット」を加えた。
ただし、従来から用いている接合形式を摩擦接合に変えるものではない。なお、「鉄塔用690N/mm2高張力山形鋼の架空電線路の支持物の構成材への適用」に規定する鉄塔用690N/mm2高張力山形鋼を規定する規格については、R3解釈より、民間規格評価機関として日本電気技術規格委員会に承認された規格リストと関連づけられ、当該機関の公開ページにて掲載されている。

第2項

第2項では、主にき電線又は低高圧架空電線を併架する電車線路用の側柱(この場合には、架空電線路の支持物であるので、第59条の適用を受ける。)として用いられる鋼管柱、照明灯専用として使用される鋼管柱などの鉄柱は、一定の規格のもとに数段階の設計荷重のものが製品化されており、従来の形鋼等を結構として組み立てる鉄柱のように施設箇所ごとに個別に設計するものではないので、これらの鉄柱を架空電線路に使用する場合について第1項とは別に規定している。これらの鉄柱を架空電線路の支持物として使用する場合は、工場打ち鉄筋コンクリート柱や鋼板組立柱と同じく実際の施設状態における想定荷重がこの設計荷重より大きくならなければよく()、部材ごとの強度計算は必要ない。
鋼管柱に対しては、許容応力を想定せず、第2項第四号で完成品の破壊試験において設計荷重の3倍の荷重に耐えることとしているが、この試験はもちろん型式別の抜取試験で差支えない。この場合の試験方法を解説57.4図に示す。
解説57.4図
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公式資料該当頁: p.91–94

令和7年11月20日改正

出典: 「電気設備の技術基準の解釈の解説」(経済産業省)を加工して作成

※ 本ページは公式資料そのものではありません。