電気設備の技術基準の解釈の解説
第229条(高圧連系時の系統連系用保護装置)
経済産業省の一次資料を確認(新しいタブで開く)該当頁の目安 p.332–335
〔解 説〕 本条は、分散型電源を高圧の電力系統に連系する際に、電力系統との間でとるべき保護協調の基本的な考え方について定めている。
第一号では、分散型電源を高圧の電力系統と連系する場合においては、第227条で定める低圧の電力系統との連系のケースと同様、系統事故等により配電用変電所にて当該系統を開放した場合に、人身及び他の需要家の機器等の安全確保並びに事故の被害拡大防止及び復旧の迅速化の観点から単独運転を一律禁止とすることを原則としている。
第二号では、再閉路時間までに分散型電源の解列ができていないと非同期並列となり系統に接続している機器等に損傷などを与えるおそれがあることから、これを防ぐために、少なくとも再閉路が行われる前に分散型電源を解列する必要があることを定めている。
第三号では、分散型電源を高圧の電力系統と連系する際に必要となる保護装置について定めているが、これらの保護装置は、分散型電源を電力系統と連系する際に必要となるものである。すなわち、分散型電源を設置する・しないに関わらず需要家として設置すべき保護装置や、系統に連系する・しないに関わらず発電設備等自体に設けるべき保護装置については、本号には規定していない。
229-1表では、「逆潮流有りの場合」と「逆潮流無しの場合」に分けて要件を定めているが、逆潮流が有る連系であっても、逆潮流が無い時間帯も当然あるわけであり、逆潮流が有る場合に求められる要件が、逆潮流が無い場合に求められる要件を包含していることは明らかである。すなわち、異常時に分散型電源を解列するという観点に限って言えば、229-1表の備考のとおり、逆潮流が無い場合であっても、逆潮流有りの場合に求められる要件を適用することができる。
ただしこの場合、逆電力リレーを設置して連系する場合と異なり、構内負荷などの事情により想定外の逆潮流が生じ、系統電圧の上昇等が起こり得るため、別途電圧面での然るべき対策が必要となることがある。
発電電圧異常上昇検出用の過電圧リレー及び発電電圧異常低下検出用の不足電圧リレーは、分散型電源の故障時に分散型電源の出力端電圧に異常な変動が見られた場合、これを検出して分散型電源を解列するものである。ただし、※1に示すように分散型電源自体に設けられている保護装置で検出し、保護できる場合は、これを省略できる。
系統側短絡事故検出用の保護リレーについては、同期発電機を用いる場合は、※10のとおり短絡方向リレーの設置が必要であり、その場合、本リレーにより連系している系統の最遠端の短絡事故を確実に検出できることが必要である。
なお、短絡方向リレーは、受電点に設置する場合に最も堅実に系統の事故を検出できるが、系統の事故が検出できる場所であれば受電点に限らず設置することが可能であり、例えば分散型電源の引出口に設置してもよい。一方、誘導発電機又は逆変換装置を用いた分散型電源の場合は、分散型電源の出力端電圧の異常変動を検出して解列すればよいため、不足電圧リレーを設置すればよいが、これは※2又は※9のとおり発電電圧異常低下検出用の不足電圧リレーにより検出し、保護できる場合は省略が可能である。
系統側地絡事故検出用の保護リレーとしては、原則として系統の地絡事故を直接検出することができるよう、需要家構内の高圧側に地絡過電圧リレーを設置する必要がある。なお、この地絡過電圧リレーは、故障の検出が可能な箇所に設置すればよいが、構内の地絡事故検出のために設置されている他の検出装置を活用することにより系統の地絡事故検出が可能な場合もある。例えば※11に示すように交流発電機引出口にある地絡過電圧リレーを活用することにより系統の地絡事故が検出可能な場合のほか、地絡継電装置付き高圧交流負荷開閉器において検出した零相電圧を地絡過電圧リレーに取り込むことにより系統の地絡事故検出が可能な場合などがこれに当たる。
また、※3に示すように、逆変換装置を用いた分散型電源が構内の低圧線に連系され、その出力が構内の負荷に比べて極めて小さく、かつ、当該系統の変電所引出口にある遮断器が開放された後、受動的方式の単独運転検出装置等により、第17条第2項に準じた考え方、すなわちB種接地抵抗値ごとに定められた遮断時間内に分散型電源を停止又は解列することができるときには、地絡過電圧リレーを設置した場合と同等の保安が確保できると考えられるため、地絡過電圧リレーを省略できる。この場合の「分散型電源の出力が受電電力に比べて極めて小さく」とは、分散型電源の出力容量が、契約電力の5%程度以下(目安であり、構内の最低負荷に対して常に分散型電源の出力容量が小さく、受動的方式の単独運転検出装置等により、速やかな解列が実施できる場合は、これを超えて運用できる。)又は10kW以下(配電系統の規模や当該配電系統内の他の分散型電源の連系状況にもよるが、10kW以下であればこれまでの連系実績から問題ないと考えられる。)のいずれかに該当する場合を指す。ここで単独運転検出装置等とは、後述の単独運転検出用の保護リレーと兼用することができるが、地絡過電圧リレーを省略する場合は、前述のとおり単独運転の検出から分散型電源の解列までを第17条第2項に準じた考え方で行うことが必要であり、一般には、能動的方式は検出に時間がかかることから、受動的方式を用いる場合が多い。
単独運転検出用の保護リレーについては、逆潮流がある場合には、周波数上昇リレー及び周波数低下リレーを設置することにより、単独運転発生の可能性を局限化することとしている。なお、専用線によって連系している場合は、他の需要家に影響を及ぼさないことから、※4のとおり周波数上昇リレーを省略できる。しかしながら、単独運転時に、系統内の分散型電源の出力と系統の負荷とが概ねバランスする場合には、周波数の変動が小さく、これらのリレーでは単独運転の検出が困難になることが予想される。このため、分散型電源の解列を確実に行うために、配電用変電所の遮断器開放の情報を通信線により伝送して分散型電源の解列を行う転送遮断装置を設置し又は単独運転検出装置を設置する方策をとることとしている。
※6では、この単独運転検出装置が満たすべき条件を定めているが、これは、以下の点を踏まえ、今後の技術開発及び連系協議の円滑化を促すことを目的としている。なお、R4解釈改正により特に配電事業者にて運用が想定される地域独立系統においても単独運転検出ができるものであることを明示している。
・高圧配電線に連系される分散型電源が低圧配電線に連系される分散型電源に比べ出力容量が大きく、能動的方式の外乱信号による系統への悪影響が懸念されること。
・系統の負荷条件等により検出感度が変わること。
・不要解列等による電圧変動などの系統への影響が大きいこと。
・交流回転機の慣性定数などにより単独運転検出装置の整定が個別に必要など、この技術が未だ開発途上のものであること。
※6(1)では、連系している系統のインピーダンスや負荷状況、連系する分散型電源の出力容量、分散型電源の運転状態、発電機定数、他の発電設備等の連系状況等により単独運転検出のための整定値の最適値が個別に存在することから、確実に単独運転を検出できる条件の確認を要求している。
※6(2)では、単独運転移行後の変動要素を検出するために必要な単独運転検出装置の検出感度を整定する際に、通常起こり得る系統の変動(例えば、系統周波数の常時変動、需要家の力率改善用コンデンサの開放・投入や他の分散型電源並解列時などに生じる変動)で単独運転検出装置が感応することのないよう、不要解列を生じることがない感応(検出)レベルで検出する必要があることを定めている。
※6(3)では、能動信号により生じる周期的な系統の電圧変動などを問題としている。その周期的な変動が与えるフリッカや常時の電圧変動幅等を考慮して、許容できる範囲(系統や他の需要家への悪影響がない範囲)の能動信号を与えることにより単独運転を確実に検出することを求めている。「系統への影響が実態上問題とならない」範囲としては、単独運転検出装置の方式により異なるが、参考までに系統連系技術要件検討小委員会技術評価作業部会にて無効電力変動方式の有効性を確認したときに用いた値を以下に示す。
○常時の系統電圧変動幅……1.0V(0-P)以下
○フリッカ電圧(△V10)……0.23V以下(無効電力変動方式による周期的な系統電圧変動幅については、系統の常時電圧適正値(101±6V)を勘案し、系統への影響が実態上問題にならないレベルを上記の通り設定した。)
なお、フリッカとは、電圧変動により電灯や蛍光灯の明るさが変動して、その度合い(変動幅)と繰り返しの周波数によっては、人の目にちらつきの不快感を与えるものをいう。フリッカの度合い(大きさ)を表す方法としては、一般的にフリッカ電圧(△V10:人が最も敏感とされる10HZの変動に等価換算して表示するもの。)が用いられている。
また、分散型電源が同一系統に複数台設置される場合は、能動信号の重畳による系統への影響や、単独運転検出装置が相互に及ぼす影響についても留意する必要がある。
※12では、誘導発電機を用いる風力発電設備について、転送遮断装置及び単独運転検出装置の省略要件を定めている。
これは、誘導発電機を用いた風力発電設備が、他の分散型電源と異なる下記の特徴を有した発電設備であり、原理的には単独運転が生じるおそれが少ないことを考慮したものである。
①誘導発電機単体では系統から励磁電流が供給されないと発電を継続できないこと。
②動力源が自然エネルギーである風力であるため風速変動に応じた出力変動が生じることから、単独運転になった場合でも一定の出力が維持できず、周波数が変動して周波数リレーにより単独運転の防止が可能な場合が考えられること。
なお、実際に転送遮断装置又は単独運転検出装置を省略するに当たっては、仮に単独運転が生じた場合であっても、再閉路時間以内の早い時間で周波数リレー等の他のリレーにより単独運転を確実に検出し、発電設備を解列する必要があることは言うまでもない。また、周波数リレーの整定時限によっては、風況の変動から、周波数が整定値を逸脱する時間が整定時限より短くなる場合も考えられるが、このようなケースでは、周波数リレーの整定時限を十分速くしておく必要がある。
なお、特に以下の場合には、周波数リレーのみでは、単独運転を検出できない可能性があるので、留意が必要である。
①系統内に他の需要家の力率改善用コンデンサがある場合や励磁電流の供給能力をもつ分散型電源がある場合
②発電設備そのものに出力安定制御機構があるものを適用する場合
③複数台の風力発電設備が連系される場合や同期発電機をはじめとする他の分散型電源が混在する場合さらに、連系当初は転送遮断装置又は単独運転検出装置を省略して連系できる場合であっても、将来の系統状況等の変化により、省略可能な条件が満たされなくなる場合が生じることも予想される。この場合は、そのままこれらの装置を設置しないで連系を継続するとコンデンサを有する高圧需要家への供給や新たな他の分散型電源の連系を阻害することになる。このため、新たにこれらの装置が必要となった場合には、現段階では風力発電設備の設置者がこれらの装置(転送遮断装置又は単独運転検出装置(能動的方式を1方式以上含む。))を設置することが最も合理的である。
単独運転検出用の保護リレーについて、逆潮流がない場合においては、単独運転時に分散型電源側から系統に電力が流出することを検知・遮断する逆電力リレーを設置するとともに、[分散型電源の出力<構内の負荷] の状態により周波数が低下するので、これを検知する周波数低下リレーを設置する。なお、※7に示すように、専用線に連系する場合であって、逆電力リレーにより高速に解列することが可能なときは、これにより確実な単独運転の防止が図られると考えられるため、周波数低下リレーを省略することができる。また、※8に示すように、構内低圧線に逆変換装置を用いた分散型電源を連系する場合であって、その出力容量が受電電力に比べて極めて小さく、逆潮流が発生しないことが明らかなときには、逆電力リレーを設置しても単独運転を検出できないおそれがあることから、単独運転検出装置(受動的方式及び能動的方式のそれぞれ1方式以上を含む。)でこれを検出することになる。この場合、逆潮流が生じないことが明らかであり、系統電圧に対する影響もないことから、逆電力リレーの設置は不要である。このときの目安は、これまでの実績から分散型電源の出力が契約電力の5%程度以下であるが、構内の最低負荷に対して常に分散型電源の出力容量が小さく、かつ、逆潮流が生じないことが明らかな場合には、これを超えて運用できる。
第三号では、系統事故等が起こった場合、系統に電圧・電流を供給しないことを最低限確保すればよいとの観点から、保護リレーの設置場所は、受電点のみならず「故障の検出が可能な場所」であればよいとしている。「故障の検出が可能な場所」としては、保護リレーの種類によって異なるが、具体的には、分散型電源の引出口、受電点と分散型電源との間の連絡用母線、受電用変圧器二次側等がある。
第四号では、分散型電源を電力系統から電気的かつ機械的に解列することができれば、系統への影響を排除できるため、受電点以外の3つの場所にある遮断器等による解列でも可能であるとしている。