電気設備の技術基準の解釈の解説
第230条(特別高圧連系時の施設要件)
経済産業省の一次資料を確認(新しいタブで開く)該当頁の目安 p.335–337
〔解 説〕 本条は、特別高圧の電力系統に分散型電源を連系する場合の要件を定めている。
第一号は、送電線の断線等により他の電線路等が過負荷になるおそれがある場合の対策を定めている。
特別高圧電線路については、限られた送電線の容量を有効に活用して多数の発電設備等が連系されることを想定すると、送電線の事故時(例えば、通常2回線運転をしている場合であって、そのうちの1回線が事故を起こしたとき)に健全な送電線が過負荷になることもあり得ることから、このような場合の送電線の過負荷を防止するため、「系統の変電所の電線路引出口等に過負荷検出装置を施設し、電線路等が過負荷になったときは、同装置からの情報に基づき、分散型電源設置者において、分散型電源の出力を適切に抑制する」こととしている。分散型電源の出力抑制は、主に100kV以上の特別高圧電線路と連系する場合に適用される対策である。なお、当然ながら、過負荷検出装置は、既に設置済みの場合はこれらの設備で対応することもできる。
「他の電線路等が過負荷になるおそれがあるとき」とあるが、発電抑制については、出力容量の小さな分散型電源であっても必要な場合もあれば、出力容量が大きくとも必要のない場合もあり得ることから、一概に必要な場合を決めることはできない。ただし、むやみに必要な範囲を拡大することは保安の観点から好ましくないことから、下記のケースを参考として示す。
(ア)出力容量の小さな分散型電源であっても必要なケースとしては、既に出力容量が大きな発電設備等を連系している系統に、新たに出力容量の小さな分散型電源を連系する場合がある(→解説230.1図)。
解説230.1図
(イ)出力容量の大きな分散型電源であっても必要のないケースとしては、単純負荷送電系統に、新たに出力容量の大きな分散型電源を連系する場合がある(→解説230.2図)。
解説230.2図
第二号は、分散型電源を特別高圧の電力系統と連系する際に、系統安定化等の観点から運転制御が必要となる場合における分散型電源の運転制御装置の設置について定めたものである。
これらが必要とされるのは、主に100kV以上の特別高圧電線路であるが、系統安定化、潮流制御等が必要な場合については、事故時における支障等を考慮し、他の電線路に比べて電力の安定供給確保の観点から厳しい系統管理が求められるものであり、こうした系統に連系する分散型電源についても系統安定化等の対策を講じることが求められる。ただし、100kV未満でも、連系される分散型電源の一設置者当たりの出力容量が比較的大きく、かつ、特段の問題がある場合など、連系箇所によっては、分散型電源の運転制御装置について検討が必要である。
ここで、分散型電源に必要な運転制御装置とは、系統の安定度維持機能向上のための装置(パワーシステムスタビライザー機能、超速応励磁自動電圧調整機能、電源制限機能等)や潮流制御及び周波数調整のための装置(ガバナフリー運転機能、負荷周波数制御(LFC:ロードフリクエンシーコントロール)機能、定連系線潮流制御機能等)を指す。
「運転制御が必要な場合」とあるが、出力容量が小さな分散型電源であっても必要な場合もあれば、分散型電源の出力容量が大きくとも必要のない場合もあり得ることから、一概に必要な場合を決めることはできない。ただし、むやみに必要な範囲を拡大することは好ましくないことから、下記のケースを参考として示す。
(ア)出力容量の小さな分散型電源であっても必要なケースとしては、既に発電設備等が連系している系統であって、連系する送電線のこう長が長く、しかも流れる潮流が多い場合において、送電線事故が発生し、分散型電源の出力端電圧の動揺が大きくなり、不安定運転となる場合がある。
(イ)出力容量の大きな分散型電源であっても必要のないケースとしては、連系する送電線のこう長が短く、しかも流れる潮流が少なくなる場合に、送電線事故が発生しても、発電設備等の出力端電圧の動揺が少なく不安定運転とならない場合がある。
第三号は、分散型電源を特別高圧の電力系統と連系する際に、保安上必要な場合は、分散型電源設置者側において、変圧器の中性点に接地工事を施すことについて定めたものである。
「異常電圧が発生するおそれ等があるときは」とあるが、分散型電源設置者側における中性点接地については、出力容量の小さな分散型電源であっても必要な場合もあれば、出力容量が大きくとも必要のない場合もあり得ることから、一概に必要な場合を決めることはできない。ただし、むやみに必要な範囲を拡大することは保安の観点から好ましくないことから、下記のケースを参考として示す。
(ア)出力容量の小さな分散型電源であっても必要なケースとしては、抵抗接地方式の系統の末端に小容量の分散型電源が接続される場合において、単独運転時に地絡事故が発生すると、単独系統の対地静電容量が大きいため、設備の絶縁レベル以上の異常電圧が発生するおそれがある場合である(→解説230.3図)。
解説230.3図
(イ)出力容量の大きな分散型電源であっても必要のないケースとしては、中性点接地抵抗を有する電気所の母線に大容量の分散型電源が直接接続される場合であって、地絡事故時に設備の絶縁レベル以上の異常電圧が発生するおそれがない場合である(→解説230.4図)。
解説230.4図