電気設備の技術基準の解釈の解説
第231条(特別高圧連系時の系統連系用保護装置)
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第1項
〔解 説〕 本条は、特別高圧の電力系統に分散型電源を連系する場合に、電力系統との間でとるべき保護協調の基本的な考え方について定めている。
第1項第一号ロにおいて「電力系統側の再閉路の方式等により、分散型電源を解列する必要がない場合を除く。」としているのは、一般的に100kV以上の系統における単相再閉路や多相再閉路を考慮すると、事故相のみ連系を遮断し、健全相については連系を継続する場合のように、分散型電源が当該系統から必ずしも解列されていなくても再閉路が可能な場合があるからである。
第二号では、分散型電源を解列する場合は、再閉路時間までに分散型電源の解列ができていないと非同期並列となり系統に接続している機器等に損傷などを与えるおそれがあることから、これを防ぐために、少なくとも再閉路前に行う必要があることを定めている。
第三号では、特別高圧の電力系統に分散型電源を連系する際に必要となる保護装置等の要件について定めているが、これらの保護装置は、分散型電源を電力系統と連系する際に必要となるものである。すなわち、分散型電源を設置する・しないに関わらず需要家として設置すべき保護装置や、系統に連系する・しないに関わらず発電設備等自体に設けるべき保護装置については、本号には規定していない。
231-1表中、発電電圧異常上昇検出用の過電圧リレー及び発電電圧異常低下検出用の不足電圧リレーは、分散型電源の故障時に分散型電源の出力端電圧に異常な変動が生じた場合、これを検出して分散型電源を解列するものである。ただし、※1に示すように分散型電源自体の保護用に設けられている保護装置で検出し、保護できる場合は、これを省略できる。
系統側短絡事故検出用の保護リレーとしては、逆変換装置を用いる場合又は逆変換装置を用いずに誘導発電機を連系する場合は、不足電圧リレーの設置が必要である。ただし、※2、※5に示すとおり、この不足電圧リレーは発電電圧異常低下検出用の不足電圧リレーにより検出し、保護できる場合は省略できる。
逆変換装置を用いずに同期発電機を連系する場合は、系統側短絡事故検出用の保護リレーとして、短絡方向リレーの設置が必要であるが、※6のとおり、電流差動継電装置が既設の場合(ループ受電や並行2回線受電の場合に多い。)は省略可能であり、また、ループ受電や並行2回線受電の場合など、短絡方向リレーが有効に機能しない場合は、短絡方向距離リレー、電流差動リレー又は回線選択リレーを用いる必要がある。
参考として、同期発電機を用いる場合の適用例を以下に示す。
ア.100kV未満で常時の連系形態が1回線の場合(常用線及び予備線による2回線引込みを含む。)は、短絡方向リレーを設置する。
イ.100kV未満でループ受電や並行2回線受電等の場合は、短絡方向距離リレー又は電流差動リレーを設置し、並行2回線受電など常時の連系形態が2回線の場合は、電流作動リレー又は回線選択リレーを設置する。
ウ.100kV以上で常時の連系形態が1回線の場合は、短絡方向リレーを設置する。ただし、これが有効に機能しない場合には、短絡方向距離リレー又は電流差動リレーを設置する。
エ.100kV以上で並行2回線受電等の常時の連系形態が2回線の場合は、短絡方向距離リレー又は電流差動リレーを設置する。
なお、アからエにおいて、既に電線路の保護のために電流差動リレーを設置している場合には、同リレーを用いることで系統の短絡事故時における対応が可能である。
系統側地絡事故検出用の保護リレーについては、中性点の接地方式別に定められており(22kVから154kVの電圧の場合には抵抗接地方式、187kVから500kVの電圧の場合は直接接地方式が代表的な接地方式として採用されている。)、中性点直接接地方式の系統に連系する場合には、※3のとおり電流差動継電装置を設置し、抵抗接地方式の系統に連系する場合は、※4のとおり地絡過電圧リレーを設置する。※4で、「地絡過電圧リレーが有効に機能しない場合」、すなわち、ループ受電の場合は、地絡方向リレー又は電流差動リレーを設置し、並行2回線受電など常時の連系形態が2回線の場合は、電流作動リレー又は回線選択リレーを設置する。電流差動リレーが既設である系統においては、同リレーを用いることで系統の地絡事故時における対応が可能である。なお、地絡過電圧リレーについては、※4の(1)から(4)で省略要件が定められている。
(3)において、「分散型電源の出力が構内の負荷より小さく」とあるが、単独運転時に周波数低下リレーが動作するための条件として、「分散型電源の出力<構内の負荷」の条件が常に成立していることを要求している。また、「高速に」
とは、地絡過電圧リレーを設置する場合と同等の時間で解列することをいう。すなわち、系統側の地絡過電圧リレーによる系統側遮断器の開放までの時限(一般的には0.3~0.5秒)と単独運転を検出する周波数低下リレー等のリレーにより分散型電源を解列するまでの時間の和が、地絡過電圧リレーにより地絡を検出し、分散型電源を解列する時限(一般的には数秒程度)と同等であることをいう。1つのシミュレーションによると、「構内負荷/分散型電源の出力」の値が1.5程度であれば、上記の解列までの時間を満足するという結果が得られている。
同一系統における複数台連系時の周波数低下リレーの有効性については、下記にその基本的な考え方を示す。
ア.逆潮流無しの分散型電源のみが同一系統に連系されている場合構内負荷のみで、周波数低下リレーが有効に動作する条件である過負荷(分散型電源の出力より構内の負荷の方が大きいこと。)が担保されていることから、複数台連系時においても、同様の解列が期待できる。
イ.逆潮流無しの分散型電源と単独運転をしない逆潮流有りの分散型電源が同一系統に連系されている場合変電所送り出し遮断器開放と同時に転送遮断装置により逆潮流有りの分散型電源が解列される場合においては、同様の解列が期待できる。
ウ.逆潮流無しの分散型電源と単独運転をする逆潮流有りの分散型電源が同一系統に連系されている場合逆潮流有りの分散型電源が地絡過電圧リレーの動作により解列された後、逆潮流無しの分散型電源が周波数の低下により停止する。この場合、解列までの時間は、逆潮流有りの分散型電源の地絡過電圧リレーによる解列時間と、逆潮流無しの分散型電源の周波数低下リレーによる解列時間の和となることについて留意する必要がある。
(4)には、周波数リレー以外であっても、一定の条件が整えば単独運転となったことを高速に検出し、分散型電源を解列できる保護リレー又は保護装置を3種類挙げている。以下にこれらを使用するに当たっての留意点を示す。
ア.逆電力リレーは、逆電力リレーを動作させるのに十分な構外の負荷が常にある場合には有効な方法である。しかし、この場合、系統の地絡事故の保護の代替として設置することから、周波数低下リレーの場合と同じ高速性が要求される。
イ.不足電力リレーは、逆潮流の無い分散型電源を連系する場合には、基本的に有効といえるが、当該リレーの動作に係る整定値によっては、不要動作のおそれがあることから、このような不要動作による系統への悪影響がないような場合に適用するのが適切である。
ウ.受動的方式の単独運転検出装置を用いる場合であって、周波数の変動により単独運転を検出する方式にあっては、系統の通常状態でしばしば発生する小さな周波数変動や、系統切り替え時の位相跳躍現象等に感応しない整定値、かつ、単独運転時に確実に動作する整定値にする必要がある。なお、この方式の適用に当たっては、分散型電源の負荷変動特性をはじめ系統変動の実態を十分確認した上で整定値を確定する必要がある。
なお、連系当初は、(3)又は(4)を適用できる場合であっても、構内の負荷状況等により高速に単独運転を検出し、解列することができなくなった場合には、地絡過電圧リレーの設置が必要となる。
第三号では、系統事故等が起こった場合、系統に電圧・電流を供給しないことを最低限確保すればよいとの観点から、保護リレーの設置場所は、受電点のみならず「故障の検出が可能な場所」であればよいとしている。「故障の検出が可能な場所」としては、保護リレーの種類によって異なるが、具体的には、分散型電源の引出口、受電点と分散型電源との間の連絡用母線、受電用変圧器二次側等がある。
第四号では、分散型電源を電力系統から電気的かつ機械的に解列することができれば、系統への影響を排除できるため、受電点以外の3つの場所にある遮断器等による解列でも可能であるとしている。
なお、保護方式によっては、解列箇所が限定される。例えば、系統の短絡保護用として短絡方向距離リレー、電流差動リレー又は回線選択リレーを用いる場合や、系統の地絡保護用として地絡方向リレー、電流差動リレー又は回線選択リレーを用いる場合には、系統事故を確実に除去し、故障区間を明確にするために、一般的に受電用遮断器での解列となる。
第2項
第2項は、分散型電源をスポットネットワーク配電線に連系する場合に、電力系統との間でとるべき保護協調の基本的な考え方について定めている。
スポットネットワーク配電線による受電方式は、受電システムを構成するネットワークリレーに逆電力遮断特性を有しており、スポットネットワーク配電線及びネットワーク変圧器の事故や停止時には逆潮流を検出して事故(停止)回線を選択遮断することができる。そのため、常時逆潮流があるとネットワークリレーの逆電力遮断特性と共立できないので、スポットネットワーク配電線に発電設備等を連系する場合は、逆潮流がないことが必要である。
第二号では、分散型電源をスポットネットワーク配電線と連系する際に必要となる保護リレーについて定めているが、本号の保護リレーは、分散型電源を電力系統と連系する際に必要となるものである。すなわち、分散型電源を設置する・しないに関わらず需要家として設置すべき保護リレーや、系統に連系する・しないに関わらず発電設備自体に設けるべき保護リレーについては、本号には規定していない。
発電電圧異常上昇検出用の過電圧リレー及び発電電圧異常低下検出用の不足電圧リレーは、分散型電源の故障時に分散型電源の出力端電圧に異常な変動が見られることから、これを検出して分散型電源を解列するものである。ただし、※1に示すように分散型電源自体の保護用に設けられている保護リレーで検出し、保護できる場合は、これを省略できる。
単独運転検出用の逆電力リレーについては、※2のとおり、スポットネットワーク配電線の特殊性を考慮し、ネットワークリレーの機能により、代替可能である。
第三号ハの「時限をもって」とは、エレベータ等の回生電力による逆電力と分散型電源からの逆電力を判別できる時限であり、一般的には1秒程度とすることが多い。なお、全回線において過電流を伴う逆電力を検出するおそれがあるときは、不要解列を防止するため変電所の遮断器が動作するまでの間プロテクタ遮断器の動作を遅延させることが有効である。