電気設備の技術基準の解釈の解説

第227条(低圧連系時の系統連系用保護装置)

経済産業省の一次資料を確認(新しいタブで開く)該当頁の目安 p.328–331

第1項

〔解 説〕 本条は、分散型電源を低圧の電力系統に連系する場合に、電力系統との間でとるべき保護協調の基本的な考え方について定めている。電気事業者と分散型電源設置者との間で連系のための協議を行うに当たって、保護協調の目的を明確にしておくことは、協議を円滑に進める上で極めて重要なことである。
第1項第一号ハのとおり、低圧の電力系統との連系においては、系統事故後の事故被害の拡大を防止するため単独運転を一律禁止することを原則としている。
系統側で事故が発生した場合は、通常、系統側配電用変電所の遮断器の開放後、一定の時限をおいて自動的に再び当該遮断器が投入(再閉路)されるが、非同期投入による機器損傷などを防ぐために、第二号に示すとおり高圧系統の再閉路時に分散型電源が確実に解列されていることが必要である。
第三号では、分散型電源を低圧の電力系統と連系する際に必要となる保護装置等の要件について定めているが、これらの保護装置は、発電設備等を電力系統と連系する際に必要となるものである。すなわち、分散型電源を設置する・しないに関わらず、需要家として設置すべき保護装置や、系統に連系する・しないに関わらず発電設備等自体に設けるべき保護装置については、本号には規定していない。
第三号イでは、「逆潮流有りの場合」と「逆潮流無しの場合」に分けて要件を定めているが、逆潮流が有る連系であっても、逆潮流が無い時間帯も当然あるわけであり、逆潮流が有る場合に求められる要件が、逆潮流が無い場合に求められる要件を包含していることは明らかである。すなわち、異常時に分散型電源を解列するという観点に限って言えば、227-1表の備考とおり、逆潮流が無い場合であっても、逆潮流有りの場合に求められる要件を適用することができる。ただしこの場合、逆電力リレーを設置して連系する場合と異なり、構内負荷などの事情により想定外の逆潮流が生じ、系統電圧の上昇等が起こり得るため、別途電圧面でのしかるべき対策が必要となることがある。また、R4解釈にて226条第2項のただし書追加の改正に伴い、「逆変換装置を用いずに連系する場合」における「逆潮流有りの場合」には※1に示すように、逆変換装置を用いて分散型電源を連系する場合と同等の単独運転検出及び解列ができる場合に限るという内容を追記している。
227-1表中、発電電圧異常上昇検出用の過電圧リレー及び発電電圧異常低下検出用の不足電圧リレーは、分散型電源の故障時に分散型電源の出力端電圧に異常な変動が見られることから、これを検出して分散型電源を解列するものである。
ただし、※2に示すように分散型電源自体に設けられている保護装置で検出し、保護できる場合は、これを省略できる。
系統側短絡事故検出用の保護リレーについては、同期発電機を用いる場合は短絡方向リレーを設置することとしているが、※7のとおり、分散型電源に設置されている過電流保護用の過電流リレー又は不足電圧リレーにより系統側短絡事故を検出し、保護できる場合は、省略できる。省略の条件は、リレーの整定値を十分小さくして、過電流リレーの場合は分散型電源から見て検出すべき最遠端の2相短絡を確実に検出できること、不足電圧リレーの場合は分散型電源から見て検出すべき最遠端の短絡事故における分散型電源の出力端の電圧降下を検出できることである。
誘導発電機や逆変換装置を用いる場合は、系統側短絡事故発生時には、分散型電源の電圧の異常変動が生じるため、系統側短絡事故検出用の不足電圧リレーを設置することとしているが、これは※3、※6のとおり、発電電圧異常低下検出用の不足電圧リレーにより検出し、保護できる場合は省略可能である。
系統側地絡事故・高低圧混触事故については、分散型電源から見た電圧等の電気的パラメータは変化せず、事故を直接検出することは困難であるため、系統側配電用変電所の遮断器の開放により生じる単独運転状態を検知し、に準じた考え方、すなわちB種接地抵抗値ごとに定められた遮断時間(地絡発生から電路を遮断するまでの時間)内に分散型電源を停止又は解列する必要がある。
逆変換装置無しで連系する場合(交流発電機を連系する場合)は、分散型電源が慣性を有すること、単独運転状態になった場合においても周波数及び電圧が平衡を保つ可能性が高いこと、分散型電源設置者側で分散型電源を系統から切り離す手段が遮断器のみであること、などから、分散型電源の速やかな解列がされにくい。このため、系統側地絡事故・高低圧混触事故検出用の単独運転検出装置が必要であり、前述のとおりに準じた考え方で分散型電源を停止又は解列するために、※8に示すとおり、高速で単独運転を検出できる受動的方式のものに限っている。
逆変換装置を用いた連系においては、単独運転検出装置や逆変換装置の制御等により、ゲートブロックにて高速に停止することができると考えられることから、※4及び※5のとおり規定している。
単独運転検出用の保護リレーについては、逆変換装置を用いた逆潮流がある連系の場合は、単独運転状態となれば、通常は分散型電源の出力と系統の負荷のバランスが大きく崩れ、系統の電圧や周波数に変動が現れるため、これを検知して解列するためのリレーが有効である。したがって、発電電圧異常上昇検出用の過電圧リレー及び発電電圧異常低下検出用の不足電圧リレーに加え、周波数上昇リレー及び周波数低下リレーを定めている。しかし、分散型電源の出力と系統内の負荷が概ねバランスする場合には、電圧や周波数の変動が少なく、これらのリレーでは検出が困難であるため、単独運転状態となっていることを検出するためには、単独運転状態となっていることそのものを検出することが必要であり、単独運転検出装置を設置することとしている。なお、この単独運転検出装置については、原理により検出不能点が異なることから、※4に示すとおり受動的方式と能動的方式を各々1方式以上含むことで検出不能点をなくすこととしている。
逆変換装置を用いて連系する場合であって逆潮流が無いときの単独運転検出用の保護リレーについては、逆電力リレー及び周波数低下リレーとともに、従来は逆充電検出機能を有する装置が必要とされていたが、現在は逆充電検出機能を有する装置又は単独運転検出装置(受動的方式+能動的方式)を必要としている。これは、単独運転状態になった場合であって、同一系統内に逆潮流が有る分散型電源設置者が混在するときには、逆潮流有りの分散型電源設置者が単独運転を検出するまでの間は、潮流の向きが変わらないおそれがあることから、この場合には、逆潮流の無い分散型電源設置者の逆電力リレー及び逆充電検出機能では検出できない可能性があり、単独運転検出装置の設置が必要であることを考慮したものである。
同期発電機又は誘導発電機を用いる場合は、単独運転検出用の保護リレーとして逆電力リレー及び周波数低下リレーを設置するとともに、不足電力リレーにより逆充電を検出するとしているが、系統側地絡事故・高低圧混触事故検出用の受動的方式の単独運転検出装置を設置した場合、不足電力リレーにより「構内の負荷>分散型電源の出力」を保つことによって、受動的方式の単独運転検出装置で単独運転の検出が可能であることから、※9に示すとおり逆電力リレーを省略可能としている。また、※10では、分散型電源の出力制御などにより、「構内の負荷>分散型電源の出力」が保たれる場合は、逆充電状態が発生せず、逆電力リレーと単独運転検出装置で単独運転の検出が可能であることから、不足電力リレーを省略できるとしている。
保護リレーの設置場所としては、系統事故等が起こった場合に、系統に電圧・電流を供給しないことを最低限確保すればよいとの観点から、受電点のみならず故障の検出可能な場所であればよく、異常の検出が可能な場所としては、分散型電源の出力端、受電点と分散型電源との間の連絡線等がある。
第三号ロでは、各保護リレー等が事故を検出する上で必要となる設置相数について、電気方式ごとに明確にしている。
相数が複数の場合は、第四号ロに示すとおり、そのいずれかを検出したときに遮断器の開放等を行うことが前提となる。
具体的な保護リレーの施設条件については、日本電気技術規格委員会規格 JESC E 0019(2019)「系統連系規程」を参考にされたい。
第四号では、分散型電源の解列について規定している。イ(ロ)及び(ハ)については、逆変換装置の内部に収める場合もある。
ハでは、「確実に復電したとみなされるまでの間」は系統に連系できないものであることを要求している。電気事業者による配電線の運用において、系統事故時、系統は再閉路により事故が解消していれば運転(送電)を継続し、事故が解消していなければ再び遮断することとなるが、この作業を繰り返すことにより、できる限り事故地点を含む最低区間以外は復電するようにする。この間、系統は開閉路を繰り返すことになることから、非同期投入防止等の観点からその間は連系を行わないよう求めているものであり、この時間は系統構成により異なるが、150~300秒程度以下が一般的である。
ニでは、逆変換装置を用いる場合に分散型電源を解列する箇所を示しており、解列の確実化を図るために、機械的な開閉箇所2箇所の開放、又は機械的な開閉箇所1箇所の開放及びゲートブロックを行うこととしている。ただし書では、逆変換装置を用いた分散型電源に用いられる受動的方式の単独運転検出装置の中には、定常運転中においても系統切替、大負荷投入時や高調波負荷投入時等の系統動揺を不要に検出する可能性を有するものもあることから、定常運転中における不要な解列を回避することを目的に、受動的方式による単独運転の検出時には遮断器等を開放せず、逆変換装置を短時間(5~10秒程度)ゲートブロックすることで対応してもよいとしている。この場合、系統側が停電していれば不足電圧リレー等により検出して解列することが可能であり、一定時間経過後も系統の電圧及び周波数が正常であれば、逆変換装置は連系を再開することができる。
ホでは、同期発電機又は誘導発電機を用いる場合の解列箇所を示している。逆変換装置を用いる場合とは異なり、ゲートブロック機能による停止ができず、遮断器による解列となることから、2箇所の機械的開閉箇所を開放することとしている。

第2項

第2項では、分散型電源を自立運転する場合の解列箇所について定めている。本来、系統連系用保護装置とは別の要件であるが、自立運転を行う場合の多くが系統連系用保護装置の動作後であるため、本条で規定している。本項は、一般用電気工作物及び小規模事業用電気工作物について規定しているが、これは、自立運転は完全に系統と切り離されたスタンドアローン状態での運転であり、分散型電源が事業用電気工作物(小規模事業用電気工作物を除く。)である場合の解列箇所については、電気的専門知識を有した電気主任技術者の責任の下、適切に判断されればよいためである。なお自立運転中に系統が復電した場合、開閉箇所を誤って非同期で投入することを防止するためにインバータを一旦停止した後、分散型電源を再並列する装置を施設しなければならない。
本項における2箇所の機械的開閉箇所の例を、解説227.1図、解説227.2図に示す。なお、解説227.1図のような場合は、各々の開閉箇所にある制御系部分を分離し、2箇所が同時に不動作とならないような構成とすることが望ましい。
ただし書により機械的開閉箇所を1箇所とする場合は、第一号から第二号に規定する装置を全て有することが必要となる。第一号では系統側に電圧がない(系統の停電)場合に、分散型電源の並列を防止する装置、第二号では系統が停電したときなどにおいて、何らかの理由で本来開放されるべき分散型電源の開閉箇所が開放されなかった場合(インバータのゲートブロックのみで分散型電源が停止している状態)には、自立運転移行を防止する装置を施設することを規定している。 なお、確実な保安を確保する方法として、機構の制御系部分を高信頼度化すること又は制御系部分の異常が発生した場合に自立運転を停止するなどの措置も有効である。
解説227.1図
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解説227.2図
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公式資料該当頁: p.328–331

令和7年11月20日改正

出典: 「電気設備の技術基準の解釈の解説」(経済産業省)を加工して作成

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