電気設備の技術基準の解釈の解説

第183条(特別低電圧照明回路の施設)

経済産業省の一次資料を確認(新しいタブで開く)該当頁の目安 p.263–265

〔解 説〕 本条は、H20解釈で新たに定められたもので、解説183.1図及び解説183.2図のような、造営材に固定された裸導体又は被覆された導体に白熱電灯を支持し、使用電圧24V以下で電気を供給する照明設備について規定している。この照明設備は、白熱電灯の位置を容易に変更できることや意匠性に優れていること等から、レストラン、喫茶店、住宅のリビング等に施設されているものである。また、この照明設備については、JIS C 8105-2-23「照明器具-第2-23部:白熱電球用特別低電圧照明システムに関する安全性要求事項」及びJIS C 0364-7-715「建築電気設備 第7-715部:特殊設備又は特殊場所に関する要求事項-特別低電圧照明設備」に規格が規定されており、本条の規定の一部は、これらの規格を根拠としている。
特別低電圧照明回路は、JIS C 60364-4-41(2006)「建築電気設備 第4-41部:安全保護 感電保護」に規定されるSELV(safety extra-low voltage 安全特別低電圧)回路である。SELV回路とは、公称電圧が交流50V、直流120Vを超えないもので、二重絶縁又はこれと同等以上の絶縁で他の回路から電気的に分離された非接地の回路である。SELVの具体的な要件については、JIS C 60364-4-41に規定されている。
解説183.1図
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解説183.2図
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第1項

第1項第一号では、特別低電圧照明回路には裸線を用いるなど充電部分が露出する場合があることから、屋外及び屋内であっても湿気、水気のある場所には施設しないことを規定している。
第二号は、JIS C 60364-4-41に規定されているSELV回路の要件を踏まえた規定である。
特別低電圧照明回路は、専用の電源装置に接続することとしているが、この専用の電源装置について、第2項第一号イで機能的要件を、第2項第一号ロで使用電圧を、第2項第二号及び第三号で施設方法を、それぞれ規定している。
第三号イは、支持導体が白熱電灯を支持する電線であることを考慮した機械的強度を規定している。支持導体の選定に当たっては、施設される照明器具の重さにより、支持導体が強度不足とならないよう、配慮する必要がある。一般的に支持導体には、酸化防止を目的としてすずめっきを施したものが使用される。
ロからトでは、支持導体の施設方法について規定している。
ロ、ハ及びホでは、支持導体に裸線が使用されることもあることから、安全性を考慮して、支持導体は、展開した場所に造営材を貫通させないように施設し、また、人や物が不用意に接触することを避けるため、人が容易に触れるおそれがないように施設することとしている。また、により、電路は大地から絶縁することが原則であることから、ニで、支持導体は造営材と絶縁することとしている。
へは、JIS C 60364-4-41に規定されているSELVの要件を踏まえたものである。解説183.2図のようなつり下げ形を施設する場合は、支持導体が揺動することも考慮して、他の電線等と接触しないようにする必要がある。
トでは、支持導体間の短絡を防ぐため、解説183.1図に示すように、補助支持物やスペーサー等を設けて、支持導体相互が直接接触しないように施設することとしている。ただし書の趣旨は、解説183.2図のように支持導体の一端を造営材に固定しつり下げて施設する形態においては、支持導体相互間にスペーサーを設けても、よじれ等により互いに接触する可能性があることから、この場合にはいずれか一方の支持導体に被覆線を用いて、接触による短絡を防ぐ必要があるという意味である。
第四号イでは、接続線に一般の低圧屋内配線よりも細い電線を使用可能としているが、太さの選定には、電線の許容電流も考慮する必要がある。
ロからチでは、接続線の施設方法について規定している。接続線には、一般の低圧屋内配線よりも細く、十分な絶縁強度の被覆を有しているとは限らない電線が使用されることから、ロで、展開した場所又は点検できる隠ぺい場所への施設を、ハで、張力が加わらないようにすること、ニで、造営材貫通部は絶縁性のあるもので保護することを、それぞれ規定している。したがって、十分な強度や被覆を有するケーブル又はキャブタイヤケーブルを使用する場合等については、上記の規定から除外している。また、ハに関連して、接続線相互及び接続線と支持導体の接続部については、に基づき、引張強さを20%以上減少させないように施設し、又は張力が加わらないように施設することになる。
ホ、ヘ及びトは、小勢力回路や出退表示灯回路と同様の規定、チは、JIS C 60364-4-41に規定されているSELVの要件を踏まえた規定である。

第2項

第2項は、専用の電源装置について規定しており、第一号の使用電圧については、1次側の対地電圧は、小勢力回路及び出退表示灯回路に準じ、2次側の使用電圧は、市販されている特別低電圧照明回路に使用する白熱電灯の定格電圧が、12V又は24Vが主流であることを考慮して規定している。また、ハで、最大使用電流を25Aとしていることから、電源装置の最大容量は600VAとなる。なお、500VA以下の変圧器については、電気用品安全法の適用を受ける。
ニのただし書については、JIS C 8105-2-23(2004)「照明器具 - 第2-23部:白熱電球用特別低電圧照明システムに関する安全性要求事項」における特別低電圧照明回路の短絡保護は、裸線の支持導体相互間に試験用の鎖を用いて2次側電路を短絡させた時の温度上昇について規定しており、必ずしも当該電路を遮断することまで求めていないことから、定格2次短絡電流が最大使用電流の値を超えるおそれがない場合にあっては、当該電路の遮断まで要求しないこととしている。
第二号では、故障等の不具合が生じた場合に点検できるよう、展開した場所又は点検できる隠ぺい場所(後者は、耐火性の外箱に収める場合)に施設することとしている。第三号は、電源装置の不用意な移動により、電線や接続部に張力が加わることは安全上好ましくないことから、電源装置は造営材に固定して施設することとしている。また、電源装置には、展開した場所で差込み接続器を介して施設するものもあるが(→解説183.3図)、その場合は接続部の確認も容易であることから、造営材への固定を求めていない。
解説183.3図
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第3項

第3項は、第1項第二号や第三号ヘと同様、SELVの要件を踏まえた規定である。

第4項

第4項は、特別低電圧照明回路を粉じんの多い場所、可燃性ガス等のある場所、燃えやすい物質のある場所、火薬類製造所等危険場所に施設するのは危険であることから、これらの場所に施設しないこととしている。
なお、特別低電圧照明回路の電源装置、接続線、支持導体、白熱電灯及びその他附属品は、短絡や過負荷等の不具合が生じた場合に適切に保護できるよう、システムとして構成されている必要があるが、製造業者が異なると製品の仕様も異なり、適切な保護ができない場合もあるので、注意が必要である。

公式資料該当頁: p.263–265

令和7年11月20日改正

出典: 「電気設備の技術基準の解釈の解説」(経済産業省)を加工して作成

※ 本ページは公式資料そのものではありません。