電気設備の技術基準の解釈の解説
第133条(臨時電線路の施設)
経済産業省の一次資料を確認(新しいタブで開く)該当頁の目安 p.184–186
〔解 説〕 本条では、使用期間の短い臨時的に施設する電線路は、事故の応急復旧の迅速化、経済性等から考えて、本格的な工事を行うことが必ずしも有利でないことから、保安面で問題のない限りにおいて簡便な工事方法によってよいこととしている。この規定は、従来、それぞれの当該電線路の規定の中で定められていたが、基準運用の利便を図るため、S51基準で本条にまとめたものである。
第1項
第1項は、短期的に鉄塔の強度を支線で補強することを認める規定で、これは、次のような場合は鉄塔に支線を設けることが経済的に有利であり、一般にやむを得ないものとして、使用期間が6カ月以内のものに限りこれを認めている。
①送電線の新設工事等において、用地交渉が難行し部分的に鉄塔建設工事が遅れる場合であって、暫定送電のための仮工事等として、設計条件とは異なる荷重条件で鉄塔を使用する場合
②移設工事等を行う際に、供給確保のための仮の支持物を設ける場合であって、当該支持物の両側にある既設の鉄塔に設計条件を超過する荷重を生じる場合
③不慮の災害により鉄塔が危険にさらされ、やむを得ず保安上一時的に補強する必要がある場合
なお、高温季又は低温季どちらか一方の期間でしか使用しないことが明白な場合にあっては、その使用する期間の条件のみの設計でよいことは当然である。
第2項
第2項は、H14解釈において日本電気技術規格委員会規格 JESC E3003(2002)「架空電線路の支持物に施設する支線へのワイヤロープの適用」を反映したものである。災害復旧のルート確保等の臨時電線路を施設する場合においては、入手の容易さ、工事現場での作業性の面から有利なワイヤロープを支持物の支線に使用したいとの要望があり、また、使用期間が6カ月以内の短期間の臨時電線路に施設される支線については、日本産業規格 JIS G 3525(2017)「ワイヤロープ」に規定されるもので公称径10mm以上であれば、「引張強さ」については規定値を満たし、「外傷」、「腐食」、「可とう性」についても問題がないことからワイヤロープの使用を認めたものである。ただし、使用履歴のあるワイヤロープを使用する場合は、労働安全衛生規則第151条の115の基準等に照らして、損傷の有無や腐食について入念に検査を行い、劣化程度の大きいものの使用は避けるとともに、適宜、サイズアップや多条化をするなどして所定の安全率を確保するような配慮が必要である。
第3項
第3項は、S57基準で新たに定めたもので、仮工事等の臨時電線路に施設される支線は、使用期間が短ければ耐腐食性上問題がないため、使用期間が6カ月以内のものに限り、木柱に施設する支線と同様、防食規定の除外を示したものである(→第61条解説)。
第4項
第4項は、臨時的に施設する低高圧架空ケーブル工事において、例えば配電線事故による停電時間を極力短くするための応急用に使用する場合又は一時的な工事用等に使用する場合に、半永久的に維持義務をもつ工事方法によることは必ずしも有利でないこと及び施設時点における監視状態等を考慮して、使用期間が2カ月以内のケーブルの工事方法については制約をかけず、大きな弛度をとる等、簡単にケーブル工事(例えばバイパス用ロープにちょう架する工法など)ができるようにしている。
第5項
第5項は、H9解釈において追加したもので、地震、台風、洪水等の自然災害により電気設備が損壊した場合に、電気事業者はこれを速やかに復旧し送電を再開することが必要であり、このような場合にはルートの確保、送電容量の面で特別高圧架空電線に架空ケーブルを使用することがその施設の容易さから有効であるため、災害復旧に要する特別高圧架空電線路にケーブルを使用する場合であって、使用期間を2カ月以内に限って設置する場合については、保安上の対策を万全にすることで、第86条によらず、施設できることを示したものである。さらに、H11解釈において35kV以下の特別高圧架空電線の臨時電線路を同様の方法で施設する場合は、災害復旧以外の工事に用する場合等においてもその施設を認めることとした。これは、35kV以下の特別高圧架空電線の施設数が年々増加する傾向にあり、道路工事及び建築工事による支障移設工事時のバイパス送電の必要性が高いことを踏まえ、臨時施設が認められていた高圧架空電線路と同等の保安レベルを確保することにより、35kV以下の特別高圧架空電線路についても臨時施設を認めたものである。
第6項
第6項は、臨時的な造営物が建設された場合などに、架空電線と当該造営物との離隔距離の不足に伴う電線路の改修の繁雑化を避けるためS51基準で定めたもので、防護具の使用期間が6カ月以内のものに限って防護具に収めた絶縁電線と造営物の造営材との離隔距離をケーブル並みに緩和している。なお、H23解釈で、35kV以下の特別高圧の架空電線についても離隔距離の緩和を認めるとともに、低高圧架空電線路の離隔距離及び各防護具の規定を含め、JESC規格の技術的規定を引用する形に改め、R4解釈より、民間規格評価機関として日本電気技術規格委員会に承認された規格リストと関連づけられ、当該機関の公開ページにて掲載されている。
第7項
第7項は、建造物等の改築等に伴う臨時引込の施設について示したものである。
第8項
第8項は、臨時に施設する低高圧地上電線路及び災害復旧に用する特別高圧地上電線路についての規定である。これは、経済社会の電気エネルギーに対する依存度が高まるにつれて、停電に対する影響も強くなるので、電力供給信頼度の向上策として、工事や事故による停電時間の短縮を図り、応急用又は臨時用として、作用区間又は事故区間をバイパスして送電する地上電線路を、2カ月間に限り施設する場合の特別緩和規定である。
以上の趣旨から使用期間を2カ月に限定し、その施設方法を各号で規定している。
第一号は臨時に地上に施設することができる電線について示している。
第二号は取扱者以外の者が臨時に施設する電線路に触れることのないよう、安全対策を施すこととしている。
第三号は、電線を地上に施設する場合の電線の保護について示している。
H9解釈において、新たに特別高圧地上電線路の規定を追加した。これは、第5項と同様の趣旨により、ケーブルを使用した特別高圧地上電線路を施設できることを示したものである。
第9項
第9項は、第5項と同様の趣旨により、日本電気技術規格委員会規格 JESC E2008(2014)「35kV以下の特別高圧地上電線路の臨時施設」を引用し、35kV以下の特別高圧地上電線路の臨時施設を高圧電線路と同様に施設可能としたものである。