電気設備の技術基準の解釈の解説

第220条(分散型電源の系統連系設備に係る用語の定義)

経済産業省の一次資料を確認(新しいタブで開く)該当頁の目安 p.321–326

〔解 説〕 本条は、第8章で用いられる主要な用語の定義を掲げたものである。
第一号の発電設備等とは、電気事業法第五号に掲げる事業を営む者等が設置するものに関わらず、電力系統に連系する発電設備及び電力貯蔵装置(二次電池など)全般を指すものであり、それらに付帯する供給設備(電力変換装置、保護装置又は開閉器等の電気を供給する際に必要な設備を収めた筐体等をいう。)も含まれる。
なお、電気自動車等から住宅等へ電気を供給する場合の電気自動車等も発電設備等に該当する。
第二号の分散型電源とは、第一号に規定する発電設備等について、その範囲を更に限定しているものである。なお,第十四号に定める地域独立系統において定義される第十六号の主電源設備と第十七号の従属電源設備は,発電設備等から除かれており,分散型電源には含まれない。
第四号では、逆潮流について定義している。なお、第8章でいう「逆潮流が有る場合」、「逆潮流が無い場合」とは、実際に分散型電源設置者から系統へ向かう潮流が有るか、無いかを意味しているのであり、分散型電源設置者と系統運用者側との間の売電契約の有無を指すものではない。
第十号及び第十一号の単独運転検出装置とは、不足電圧リレー、過電圧リレー、周波数上昇リレー、周波数低下リレー等では検出できないような単独運転状態においても単独運転を検出することができる装置のことであり、検出原理から受動的方式と能動的方式に大別される。このうち、第十号の受動的方式の単独運転検出装置は、単独運転移行時の電圧位相や周波数等の急変を検出する方式であり、主に下記のようなものがある。この方式は、一般的に高速性に優れているが、不感帯領域がある点や急激な負荷変動等による頻繁な不要動作を避けることに留意する必要がある。
・電圧位相跳躍検出方式:単独運転移行時に発電出力と負荷の不平衡による電圧位相の急変等を検出する方式(→解説220.1図)
・3次高調波電圧歪急増検出方式:逆変換装置に電流制御形を用い、単独運転移行時に変圧器に依存する3次高調波電圧の急増を検出する方式。低圧の単相回路で有効である。(→解説220.2図)
・周波数変化率検出方式:単独運転移行時に発電出力と負荷の不平衡による周波数の急変等を検出する方式(→解説220.3図)
また、第十一号の能動的方式の単独運転検出装置は、平時から発電設備等の出力や周波数等に微小な変動を与えておき、単独運転移行時に顕著となる周波数等の変動を検出する方式であり、主に下記のようなものがある。この方式は、原理的には不感帯領域がない点で優れているが、一般に検出に時間がかかること及び、他の能動的方式を採用する発電設備等が同一系統に多数連系されていると、有効に動作しないおそれがある点に留意する必要がある。
・有効電力変動方式:発電出力に周期的な有効電力変動を与えておき、単独運転移行時に現れる周期的な周波数変動あるいは電圧変動等を検出する方式(→解説220.4図(a))
・無効電力変動方式:発電出力に周期的な無効電力変動を与えておき、単独運転移行時に現れる周期的な周波数変動あるいは電流変動等を検出する方式(→解説220.4図(b))
・負荷変動方式:発電設備等に並列インピーダンスを瞬間的、かつ、周期的に挿入し、単独運転移行時に現れる電圧変動又は電流変動の急変等を検出する方式(→解説220.5図)
・QCモード周波数シフト方式:系統の周波数変化率(df/dt)を検出し、その変化率の正負と大きさに従って、発電設備等の出力電圧を変動させ、単独運転時の周波数変動を検出させる方式
・周波数シフト方式:発電設備等から出力する周波数特性に予めバイアス等を与えておくことによって、単独運転移行時に逆変換装置の周波数特性と単独系統の負荷特性で決まる周波数にシフトする性質を利用して単独運転を検出する方式
・次数間高調波注入方式:系統に微量の次数間高調波電流を注入し、注入次数の高調波電圧・電流を測定することにより系統インピーダンスの監視を行い、単独運転移行後のサセプタンスの変化により単独運転を検出する方式
解説220.1図
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解説220.2図
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解説220.3図
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解説220.4図
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解説220.5図
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第十二号のスポットネットワーク受電方式とは、電力会社の変電所から、スポットネットワーク配電線(通常3回線の22kV又は33kV配電線)で受電し、各回線に設置された受電変圧器(ネットワーク変圧器という。)を介して二次側をネットワーク母線で並列接続した受電方式をいう。電気方式には一次側22(33)kV三相3線式、二次側240~415V三相4線式(低圧スポットネットワーク方式)と二次側6.6kV三相3線式(高圧スポットネットワーク方式)がある。
低圧スポットネットワーク方式とは、ネットワーク変圧器の二次側電圧が400V級(低圧)で、ネットワークプロテクタと呼ばれる保護装置を経て低圧母線で並列接続する方式をいう。ネットワークプロテクタは、低圧プロテクタ遮断器、プロテクタヒューズ及びネットワークリレーから構成される。各ネットワーク変圧器は常時並列運転されており、低圧側の電気方式は主として三相4線式である。ここでネットワークリレーとは、スポットネットワーク受電方式において、事故(停止)回線の選択遮断や復電時の自動投入を行うために用いられるリレーであって、少なくとも次の特性を有するものをいう。
・逆電力遮断特性:ネットワーク母線側からネットワーク変圧器側へ電力が逆流した場合、これを検出してプロテクタ遮断器を自動的に開放する特性(短絡電流領域から変圧器の逆励磁電流領域までの広い範囲の遮断特性が必要である。)
・無電圧投入特性:ネットワーク母線側に電圧がない状態で、ネットワーク変圧器の二次側が充電されると、プロテクタ遮断器を自動的に投入する特性
・差電圧投入特性:ネットワーク母線側が充電されている状態において、ネットワーク変圧器の二次側電圧がネットワーク母線側電圧より高く、その差電圧がプロテクタ遮断器投入後に通過電力が正方向になるような位相を持つ場合、プロテクタ遮断器を自動的に投入する特性高圧スポットネットワーク方式とは、ネットワーク変圧器の二次側電圧が高圧であるが、基本構成は原則として低圧スポットネットワーク方式と同様である。異なる点としては、プロテクタヒューズの代わりに変圧器の一次側に二次側の短絡時に流れる電流を遮断する能力を有する負荷開閉器又は遮断器を要し、二次側の結線方式が△で、非接地方式という点である。
第十四号、十五号、十六号、十七号及び十八号は、R4解釈にて同年制度開始された配電事業者にて特に想定される地域独立系統の保安要件追加に伴い、地域独立系統における用語として定義されたものである。第十八号では,地域独立系統において、主電源設備のみ又は、主電源設備及び従属電源設備が単独運転とは異なり、地域独立系統の系統電源となって地域独立系統にのみ電気を供給している状態を指す。
第8章では、電気事業法第五号に掲げる事業を営む者以外の者が発電設備等を商用電力系統に連系する際に、主に「公衆及び作業者の安全確保並びに電力供給設備又は他の需要家の設備に悪影響を及ぼさないこと。」を目的に、満たすべき技術要件を定めている。なお、系統連系に関する具体的な内容については、日本電気技術規格委員会規格JESCE0019(2019)「系統連系規程」((一社)日本電気協会技術規程JEAC9701-2019)を参考にされたい。

公式資料該当頁: p.321–326

令和7年11月20日改正

出典: 「電気設備の技術基準の解釈の解説」(経済産業省)を加工して作成

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