電気設備の技術基準の解釈の解説

第155条(電気設備による電磁障害の防止)

経済産業省の一次資料を確認(新しいタブで開く)該当頁の目安 p.213–216

〔解 説〕 本条は、電気機械器具からの妨害電波による無線設備の通信障害のうち、継続的かつ重大なものを防止することを目的としている。したがって、一時的又は瞬間的なものや軽微なものまでも規制するものではない。電波障害の種類としては、①電気機械器具や電線路等から直接発生する電波による障害、②電気機械器具の使用電流に高周波分が含まれるために、これが電路に伝わり、その電路に接続される無線設備に影響を及ぼすことによる障害、③電気機械器具から電路に伝わった高周波分によって、さらに電路から発生する電波による障害、④接地点からの伝導がある。本条においては、電気機械器具が高周波電流を発生して通信障害を及ぼさないようにその防止方法を規定している。
第一号イでは、けい光放電灯から発生する妨害高周波電流の通信障害防止方法について規定している。けい光放電灯より発生する妨害高周波電流は解説155.1、2図のように、放電灯と並列にコンデンサを挿入すれば最も効果的に防止することができ、一般的にはこの方法で受信障害を解決できるので、本条では、この方法について規定した。この場合、挿入するコンデンサの値は0.006μF~0.5μFのものが適当である。このコンデンサの値がこれより小さいと防止効果が下がり、また、大きくてもその割に防止効果があがらず、特に予熱始動式のものでグローランプに並列に接続するものは放電管の寿命、グローランプの機能(接点が融着することがある。)、始動時間等に悪影響を及ぼすので、0.006μF~0.01μFのコンデンサを設けてもよいようにした。
解説155.1図 解説155.2図
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ロでは、電気ドリル用の小型交流直巻電動機から発生する高周波電流による通信障害防止方法について規定している。
直巻整流子電動機は、ブラシから整流子を通じて電気を電機子巻線に供給しているので、整流子とブラシの接触面で火花放電が起こり、これによる高周波振動が生じる。これが妨害電波の発生する主な原因であり、これによって、例えばテレビ画面には細い乱れた線が現われ、映像がひずむ。テレビなどの超短波帯に対する妨害電波の障害防止には、電波の波長が非常に短いため標準放送波帯の受信障害防止を目的とする防止器では十分な防止効果が期待できないので、電波技術審議会の答申により貫通型コンデンサと無誘導型コンデンサとを組合せて超短波帯における妨害電波の防止方法を規定している。紙コンデンサは、若干のインダクタンス分を含有している。また、このほかに周波数が高くなるとコンデンサのリード線がインダクタンスとなって効いてきて、これが直列に付加されることになり、この内部及び外部インダクタンスと静電容量の共振点を境にして、共振周波数より高い範囲では誘導リアクタンスとして作用する。そのため高い周波数(VHF等)では、このインダクタンス効果が現われて、高周波電流の通過が阻害される。貫通型コンデンサは上述のインダクタンス分を含有しないような構造となっている。すなわち、このコンデンサの接地側は電気機器のケースと一体となってはめこまれ、妨害電波の発生源となる交流直巻電動機の電路がこのコンデンサの誘電体を貫通している。また無誘導型コンデンサもその構造上インダクタンス要素のないものである。
昭和39年度電波技術審議会より答申されたHF帯及びVHF帯電波の受信に与える妨害電波防止方法の結線図を解説155.3図に示す。この種の妨害電波防止方法では、防止器の入出力間の浮遊容量による結合除却及び貫通コンデンサの接地端子と電気ドリルの金属製外箱との接続方法がその効果に重要な影響を与える。すなわち貫通型コンデンサの入出力端子を遮へいした場合としない場合とでは、その防止効果は、周波数が100MHZで40dBほども違うので、十分遮へいに注意し、かつ、貫通型コンデンサのベースを完全に金属製ケースに密着させて電気的に完全に接続すること。
解説155.3図
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ハでは、電気ドリル以外のものであって、小型交流直巻電動機を使用する電気機械器具から発生する妨害高周波電流の通信障害防止方法について規定している。これは、小型交流直巻電動機が電気バリカン、ヘアドライヤ、電気ミシン、電気ミキサ、電気掃除機、電気ポリッシャー、電気ひげそり等に広く使用されるようになり、ラジオ、テレビに障害を与えるようになったことから、電波技術審議会の答申を基にその障害防止の方法を規定したものである。電波障害防止に使用されるコンデンサの要件については、第三号で示している。
原則としては、解説155.4図のように小型交流直巻電動機を使用する電気機械器具の端子相互間に0.1μFのコンデンサを、端子と電気機械器具の金属製外箱又は大地との間に0.003μFのコンデンサを施設することとしている。
(イ)で端子相互間のコンデンサの静電容量を0.1μFとしたのは、これ以上大きくしても、その割に効果がないためである。端子と外箱又は大地との間に施設するコンデンサの値は、0.003μFより大きい方が効果があるが、コンデンサの一端を接地することは実際には困難な場合が多く、ほとんどの場合、電気機械器具の外箱に接続する方法が次善の策としてとられており、人が触れた場合にコンデンサの静電容量が大きいと電撃を受けることがあるため、この値を0.003μFと限定している。(ロ)は、電動機の端子と電動機のフレームとの間にコンデンサを接続する場合に、電気機械器具の外箱内に収められた電動機のフレームが電気機械器具の金属製外箱から絶縁されているものについては、人が電撃を受けるおそれがないため、0.003μFを超えるコンデンサを設けることとしている。(ハ)は、コンデンサの一端が確実に大地と電気的に接続される場合には、端子相互間のコンデンサを省略し、端子と大地との間に0.1μFのコンデンサを施設する方法をとることができることを示している。以上の方法は、電気機械器具に直接コンデンサを施設する場合であるが、(ニ)では、電気機械器具が接続されるコンセントの近くの屋内配線に防止装置を施設する場合について示しており、電線相互間に0.1μFのコンデンサを、電線と大地又は電気機械器具の金属製外箱との間に0.003μFのコンデンサを施設することとしている(→解説155.5図)。
解説155.4図
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解説155.5図
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ニでは、以上の方法により防止装置を講じてもなおその障害が著しい場合には、追加対策を行うことを示している。
この場合には、接地側端子は人が触れるおそれがある金属製外箱に接続しないこととしている。
ホは、ドラム型のネオン点滅器の接点が動作することにより発生する妨害電波の障害防止のための規定である。この高周波電流防止装置については、ネオン点滅器の各接点に近接する箇所の電路に施設するもの及びネオン点滅器の電源端子相互間に施設するものがある。前者の結線図を解説155.6図に、後者の結線図を解説155.7図及び解説155.8図に示す。
解説155.6図
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解説155.7図 解説155.8図
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第二号では、コンデンサ及び高周波電流の発生を防止する装置の接地側端子にはD種接地工事を施すことを規定している。
第三号では、コンデンサ及び高周波電流発生防止装置の要件を示している。

公式資料該当頁: p.213–216

令和7年11月20日改正

出典: 「電気設備の技術基準の解釈の解説」(経済産業省)を加工して作成

※ 本ページは公式資料そのものではありません。