電気設備の技術基準の解釈の解説
第212条(電圧不平衡による障害の防止)
経済産業省の一次資料を確認(新しいタブで開く)該当頁の目安 p.309–311
〔解 説〕 本条は、交流式電気鉄道の単相負荷による電圧不平衡率について規定している。なお、単相負荷に係る規定であるので、新交通システムは除かれる。
JRの新幹線や在来線において、その単相負荷容量は電気炉、溶接機等の単相負荷に比べ極めて大きく、これを 三相電力系統に接続すると、電気供給事業者の発電設備、送変電設備及び一般需要家の負荷設備に与える影響が大きい。すなわち単相負荷により、三相電源に著しい不平衡を生じると、発電機、調相機などの回転機は温度上昇が著しくなり、系統の保護装置及び計測装置の誤動作を招き、また、誘導電動機はトルクの減少や異常温度上昇を生じる。したがって、単相負荷による不平衡をできるだけ少なくするように設計、施工及び維持する必要がある。
本条は、この電圧不平衡軽減措置を要求したもので、212-1表に規定する計算方法により、その限度を3%以下程度にすることが要求されている。
電圧不平衡率の計算は、変圧器の結線方式(→解説212.1図)に従い、212-1表の単相結線の場合、3相/2相変換結線の場合、V結線の場合を適用する。
解説212.1図
ここで電圧不平衡率というのは、正相電圧に対する逆相電圧の比、すなわち をもって表しており、本文の各算式の決定過程を示せば次のとおりである。
(イ)単相結線の場合
〔数式:式1〕
(ロ)三相/二相変換結線の場合
〔数式:式2〕
(ハ)V結線の場合
〔数式:式3〕
電圧不平衡率の限度3%は、各機器に及ぼす影響を考慮し、フランス等における実績(許容限度5%)等も参考にして定められたもので、一般負荷による影響(一般には電圧不平衡を緩和する方向に作用する。)は無視することにして、電鉄変電所の受電点において決めている。
また、計算式において、単相負荷は連続2時間の平均負荷をとることになっており、これより短時間では3%以上の不平衡を生じることは電鉄負荷の性格上、ある程度はやむを得ないことではあるが、短時間の不平衡もできるだけ小さくするように努力すべきことは当然である。本条における不平衡率の限度は、法的に標準という定め方を避け最低の限度そのものを定めている。しかし3%という値は必ずしも決定的なものでないので、計算上これを超えていても一般需要家の負荷設備も含めたその電力系統に支障を生じないような場合が出てくることも考えられる。
電圧不平衡軽減対策は、スコット結線や変形ウッドブリッジ結線等を採用するほか、更にコンデンサ、リアクトル等を使用した位相補償方式や無効電力制御装置等を施設することが考えられる。