無人航空機の飛行の安全に関する教則

3.1.2.2(規制対象となる飛行の空域及び方法(特定飛行)の補足事項等)

無人航空機の飛行の安全に関する教則(令和8年7月7日公布 第5版)

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(2) 規制対象となる飛行の空域及び方法(特定飛行)の補足事項等

1) 規制対象となる飛行の空域

a. 空港等の周辺の空域

航空法に基づき原則として無人航空機の飛行が禁止されている「空港等の周辺の空域」は、空港やヘリポート等の周辺に設定されている進入表面、転移表面若しくは水平表面又は延長進入表面、円錐表面若しくは外側水平表面の上空の空域、(進入表面等がない)飛行場周辺の、航空機の離陸及び着陸の安全を確保するために必要なものとして国土交通大臣が告示で定める空域である。
ただし、航空機の離着陸が頻繁に実施される新千歳空港・成田国際空港・東京国際空港・中部国際空港・関西国際空港・大阪国際空港・福岡空港・那覇空港では、進入表面等の上空の空域に加えて、進入表面若しくは転移表面の下の空域又は空港の敷地の上空の空域についても飛行禁止空域となっている。

b. 緊急用務空域

国土交通省、防衛省、警察庁、都道府県警察又は地方公共団体の消防機関その他の関係機関の使用する航空機のうち捜索、救助その他の緊急用務を行う航空機の飛行の安全を確保するため、国土交通省が緊急用務を行う航空機が飛行する空域(緊急用務空域)を指定し、この空域では、原則、無人航空機の飛行が禁止される(重量100グラム未満の模型航空機も飛行禁止の対象となる)。
災害等の規模に応じ、緊急用務を行う航空機の飛行が想定される場合には、国土交通省がその都度「緊急用務空域」を指定し、国土交通省のホームページ・X(旧Twitter)にて公示する。
無人航空機の操縦者は、飛行を開始する前に、当該空域が緊急用務空域に該当するか否かの別を確認することが義務付けられている。空港等の周辺の空域、地表若しくは水面から150m以上の高さの空域又は人口集中地区の上空の飛行許可があっても、緊急用務空域を飛行させることはできない。

c. 高度150メートル以上の空域

「高度150メートル以上の飛行禁止空域」とは、海抜高度ではなく、無人航空機が飛行している直下の地表又は水面からの高度差が150メートル以上の空域を指す。このため、山岳部などの起伏の激しい地形の上空で無人航空機を飛行させる場合には、意図せず150メートル以上の高度差になるおそれがあるので注意が必要である。

d. 人口集中地区

「人口集中地区(DID:Densely Inhabited District)」は、5年毎に実施される国勢調査の結果から一定の基準により設定される地域であり、現在は令和2年の国勢調査の結果に基づく人口集中地区が適用されている。ただし、都市計画法第8 条第1 項第1 号の工業専用地域内の区域において、無人航空機を飛行させる場合には、DID に係る許可手続き等が不要である。

2) 規制対象となる飛行の方法

a. 昼間(日中)における飛行

無人航空機の操縦者は、昼間(日中。日出から日没までの間)における飛行が原則とされ、それ以外の飛行の方法(夜間飛行)は、航空法に基づく規制の対象となる。
「昼間(日中)」とは、国立天文台が発表する日の出の時刻から日の入りの時刻までの間を指す。

b. 目視による常時監視

無人航空機の操縦者は、当該無人航空機及びその周囲の状況を目視により常時監視して飛行させることが原則とされ、それ以外の飛行の方法(目視外飛行)は、航空法に基づく規制の対象となる。
「目視により常時監視」とは、飛行させる者が自分の目で見ることを指し、双眼鏡やモニター(FPV(First Person View)を含む。)による監視や補助者による監視は含まない(眼鏡やコンタクトレンズの使用は「目視」に含まれる)。なお、安全な飛行を行うためにバッテリー残量を確認する目的等で無人
航空機から一時的に目を離し、モニターを確認する等は目視飛行の範囲内となる。

c. 人又は物件との距離

無人航空機の操縦者は、当該無人航空機と地上又は水上の人又は物件との間に30メートル以上の距離(無人航空機と人又は物件との間の直線距離)を保って飛行させることが原則とされ、それ以外の飛行の方法は、航空法に基づく規制の対象となる。
「人又は物件」とは、第三者又は第三者の物件を指し、無人航空機を飛行させる者及びその関係者並びにこれらの者が所有又は管理する物件は該当しない。
また、「物件」とは、(a)中に人が存在することが想定される機器、(b)建築物その他の相当の大きさを有する工作物等を指す。具体的な「物件」の例は次のとおり。
車両等:自動車、鉄道車両、軌道車両、船舶、航空機、建設機械、港湾のクレーン 等
工作物:ビル、住居、工場、倉庫、橋梁、高架、水門、変電所、鉄塔、電柱、電線、信号機、街灯 等
なお、土地や自然物(樹木、雑草等)などは、「物件」に該当しない。

d. 催し場所上空

無人航空機の操縦者は、多数の者の集合する催しが行われている場所の上空における飛行が原則禁止されている。
「多数の者の集合する催し」とは、特定の場所や日時に開催される多数の者が集まるものを指す。その該当の有無については、催し場所上空において無人航空機が落下することにより地上等の人に危害を及ぼすことを防止するという趣旨に照らし、集合する者の人数や規模だけでなく、特定の場所や日時に開催されるかどうかによって総合的に判断される。
なお、飛行許可・承認の取得の有無によらず、飛行予定経路下において想定していない「多数の者の集合する催し」が開催されることが明らかになり、飛行場所に第三者の立入り又はそのおそれのあることを確認したときは、直ちに当該無人航空機の飛行を停止し、飛行経路の変更、航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全を損なうおそれがない場所への着陸その他の必要な措置を講じなければならない。
具体的には、次のとおり。
⚫ 該当する例祭礼、縁日、展示会のほか、プロスポーツの試合、スポーツ大会、運動会、屋外で開催されるコンサート等のイベント、ドローンショー(自社敷地内、無人の競技場内等、第三者の立入管理措置が行われていることが明白である場所での事前練習や企業向けの配信用撮影等を除く)、花火大会、盆踊り大会、マラソン、街頭パレード、選挙等における屋外演説会、デモ(示威行為) 等
⚫ 該当しない例
関係者のみが参加する催し場所上空の飛行
自然発生的なもの(信号待ちや混雑により生じる人混み 等)
また、多数の者の集合する催しが行われている場所の上空における飛行に際しては、風速 5m/s以上の場合は飛行を中止することや、機体が第三者及び物件に接触した場合の危害を軽減する構造を用意していることが必要である。

e. 危険物の輸送

無人航空機の操縦者は、当該無人航空機により危険物を輸送することが原則禁止されている。
「危険物」とは、火薬類、高圧ガス、引火性液体、可燃性物質、酸化性物質類、毒物類、放射性物質、腐食性物質などが該当する。
無人航空機の飛行のため当該無人航空機で輸送する物件は、「危険物」の対象とならない。例えば、無人航空機の飛行のために必要な燃料や電池、安全装置としてのパラシュートを開傘するために必要な火薬類や高圧ガス、業務用機器(カメラ等)に用いられる電池が該当する。

f. 物件の投下

無人航空機の操縦者は、当該無人航空機から物件を投下させることが原則禁止されている。
物件の投下には、水や農薬等の液体や霧状のものの散布も含まれる。無人航空機を使って対象物件を地表等に落下させることなく地上の人員に受け渡す行為や輸送した物件を地表に置く行為は、物件の投下には含まれない。

3) 規制対象となる飛行の空域及び方法の例外

a. 捜索又は救助のための特例

国や地方公共団体又はこれらから依頼を受けた者が、事故、災害等に際し、捜索又は救助を目的として無人航空機を飛行させる場合には、特例として飛行の空域及び方法の規制が適用されない。
ここで、「捜索又は救助」とは、事故や災害の発生等に際して人命や財産に急迫した危難のおそれがある場合において、人命の危機又は財産の損傷を回避するための措置を指しており、当該措置をとることについて緊急性がある飛行については、本特例が適用されることとなる。例えば、大規模災害発生時においては、多数の道路の寸断や集落の孤立が発生する可能性があることから、被災者の捜索又は救助に加え、被災地の孤立地域等への医薬品、衛生用品、食料品、飲料水等の生活必需品の輸送、危険を伴う箇所での調査・点検のほか、住民避難後の住宅やその地域の防犯対策のための無人航空機の飛行も含め、当該特例の対象となる。これらについては通達「無人航空機に係る規制の運用における解釈について」や「航空法第132 条の92 の適用を受け無人航空機を飛行させる場合の運用ガイドライン」において規定されている。また、震災発生に伴う仮設住宅建設予定調査のための飛行や獣害を未然に防ぐための飛行など、この特例の具体的な適用事例が国土交通省ホームページに参考資料として示されている。
なお、災害時の対応であっても、国や地方公共団体にかかわらない独自の活動にあっては、特例の対象とはならず、国の飛行の許可・承認などの手続き等が必要となる。

b. 高度150メートル以上の空域の例外

地表又は水面から150メートル以上の高さの空域に関しては、航空機の空域と分離する観点から原則として飛行が禁止されているが、煙突や鉄塔などの高層の構造物の周辺は、航空機の飛行が想定されないことから、高度150メートル以上の空域であっても、当該構造物から30メートル以内の空域については、無人航空機の飛行禁止空域から除外されている。ただし、当該構造物の関係者による飛行を除き、第三者又は第三者の物件から30メートル以内の飛行に該当することから、当該飛行の方法に関する手続き等は必要となる。

c. 十分な強度を有する紐等で係留した場合の例外

十分な強度を有する紐(ひも)等(30メートル以下)で係留し、飛行可能な範囲内への第三者の立入管理等の措置を講じて無人航空機を飛行させる場合は、人口集中地区、夜間飛行、目視外飛行、第三者から30メートル以内の飛行及び物件投下に係る手続き等が不要である。
自動車、航空機等の移動する物件に紐等を固定して又は人が紐等を持って移動しながら無人航空機を飛行させる行為(えい航)は、係留には該当しない。

d. 航空法施行規則第236 条の82 第1項第2号の規定による農薬散布等の例外

無人航空機を飛行させて農薬等の空中散布などを行う場合であって、航空法施行規則第236 条の第1項第2号の規定で定める要件を満たす場合には、夜間飛行、目視外飛行、第三者から30メートル以内の飛行、危険物輸送及び物件投下に係る飛行の承認手続きが不要である。

4) その他の補足事項等

a. 第三者及び第三者上空の定義

(1) 「第三者」について

「第三者」とは、無人航空機の飛行に直接的又は間接的に関与していない者をいう。
次に掲げる者は無人航空機の飛行に直接的又は間接的に関与しており、「第三者」には該当しない。
(a)無人航空機の飛行に直接的に関与している者直接的に関与している者(以下「直接関与者」という。)とは、操縦者、現に操縦はしていないが操縦する可能性のある者、補助者等無人航空機の飛行の安全確保に必要な要員とする。
(b)無人航空機の飛行に間接的に関与している者間接的に関与している者(以下「間接関与者」という。)とは、飛行目的について操縦者と共通の認識を持ち、次のいずれにも該当する者とする。
a. 操縦者が、間接関与者について無人航空機の飛行の目的の全部又は一部に関与していると判断している。
b. 間接関与者が、操縦者から、無人航空機が計画外の挙動を示した場合に従うべき明確な指示と安全上の注意を受けている。なお、間接関与者は当該指示と安全上の注意に従うことが期待され、操縦者は、指示と安全上の注意が適切に理解されていることを確認する必要がある。
c. 間接関与者が、無人航空機の飛行目的の全部又は一部に関与するかどうかを自ら決定することができる。
例:映画の空撮における俳優やスタッフ、学校等での人文字の空撮における生徒 等

(2) 「第三者上空」について

「第三者上空」とは、(1)の「第三者」の上空をいい、当該第三者が乗り込んでいる移動中の車両等(自動車、鉄道車両、軌道車両、船舶、航空機、建設機械、港湾のクレーン等をいう。以下同じ。)の上空を含むものとする。この場合の「上空」とは、「第三者」の直上だけでなく、飛行させる無人航空機の落下距離(飛行範囲の外周から製造者等が保証した落下距離)を踏まえ、当該無人航空機が落下する可能性のある領域に第三者が存在する場合は、当該無人航空機は当該第三者の上空にあるものとみなす。また、無人航空機の飛行が終了するまでの間、無人航空機の飛行に関与しない者((1)の「第三者」)の態様(状況)及び飛行の形態が以下のいずれかに該当する場合は、無人航空機が第三者上空にあるとはみなさないこととなる。
①「第三者」が遮蔽物に覆われており、当該遮蔽物に無人航空機が衝突した際に当該第三者が保護される状況にある場合(当該第三者が屋内又は車両等(移動中のものを除く。)の内部にある場合等。)
②「第三者」が、移動中の車両等(無人航空機が当該車両等に衝突した際に当該第三者が保護される状況にある場合に限る。)の中にある場合であって、無人航空機が必要な要件を満たした上でc.レベル3.5 飛行に規定される飛行として一時的に当該移動中の車両等の上空を飛行するとき。
ただし、「第三者」が遮蔽物に覆われず、無人航空機の衝突から保護されていない状況になった場合には、無人航空機が「第三者上空」にあるとみなされる点に留意する必要がある。

b. 立入管理措置

特定飛行に関しては、無人航空機の飛行経路下において第三者の立入りを管理する措置(立入管理措置)を講ずるか否かにより、カテゴリーⅡ飛行とカテゴリーⅢ飛行に区分され、必要となる手続き等が異なる。
立入管理措置の内容は、第三者の立入りを制限する区画(立入管理区画)を設定し、当該区画の範囲を明示するために必要な標識の設置等としており、例えば、関係者以外の立入りを制限する旨の看板、コーン等による表示、補助者による監視及び口頭警告などが該当する。

c. レベル3.5 飛行

2023 年12 月に、デジタル技術の活用(機上カメラ)、無人航空機操縦者技能証明の保有及び保険への加入を条件として、レベル3 飛行で従来求められていた立入管理措置のうち、補助者の配置や看板の設置等を機上カメラによる確認に代替し、移動中の車両等の上空の一時的な横断を伴う飛行が可能となる「レベル3.5 飛行」が新設された。
以下、レベル3.5 飛行の概要を述べる。

(1) レベル3.5 飛行の位置づけ

レベル3.5 飛行は、山、海水域、河川・湖沼、森林、農用地等の人口密度が低い地域といった第三者が存在する可能性が低い場所(※夜間含む)で行うものであり、飛行経路下に歩行者等がいない無人地帯であることをデジタル技術の活用(機上カメラ)によって確認することで立入管理措置を代替し、経路を特定したうえで行う飛行であることから、カテゴリーⅡ飛行(レベル3 飛行)に該当する。
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そのため、レベル3.5 飛行は以下の点について注意する必要がある。
⚫ 一定の要件を満たすことにより、一時的な道路等の横断に限って移動中の車両等の上空を飛行することを可能とするものであり、カテゴリーⅢ(レベル4)飛行と同様に歩行者等の第三者の上空の飛行を認めるものではない。
⚫ 一定の要件を満たすことにより、従来求められていた立入管理措置のうち補助者の配置や看板の設置等を機上カメラでの確認に代替するものであり、立入管理措置そのものが不要となるわけではない。

(2) レベル3.5 飛行の実施に求められる安全確保体制等

レベル3.5 飛行の実施に当たっては、特に下記3 つの要件への適合が必要である。
⚫ 機上カメラと地上に設置するモニター等の設備により、進行方向の飛行経路の直下及びその周辺に第三者の立入りが無いことを確認できることを事前に確認していること
⚫ 操縦者が無人航空機操縦者技能証明(飛行させる無人航空機の種類、重量に対応したものであって、目視内飛行の限定解除を受けたもの)を保有していること
⚫ 移動中の車両等との接触や交通障害等の不測の事態に備え、十分な補償が可能な第三者賠償責任保険に加入していること
また、レベル3.5 飛行の実施に際し、レベル3飛行に必要な要件へ適合していることを示す以下の資料の作成が必要である。また、飛行の安全を確保するための運航条件等を事前に定める必要がある。
⚫ 飛行に際し想定されるリスクを十分に考慮の上、安全な飛行が可能となる運航条件等を設定した資料
⚫ 無人航空機の機能・性能及び飛行形態に応じた追加基準に関する基準適合状況を示せる資料
⚫ 操縦者にかかる飛行形態に応じた追加基準への適合性について、過去の飛行実績又は訓練実績等を記載した資料
⚫ 飛行範囲及びその外周から製造者等が保証した落下距離の範囲内を立入管理区画として地図上に示した資料
⚫ 想定される運用により、十分な飛行実績(機体の初期故障期間を超えたもの)を有することを示せる資料
なお、上記資料は基本的に申請時の提出は不要であるが、別途、国土交通省航空局から求めがあった場合には提出が必要となる。